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「ようやく日本で会社が設立できて一安心だ」
このようにお考えになる外国人経営者の方は多いものですが、会社設立を設立した後は税務署、年金事務所、労働基準監督署、ハローワークなどに様々な届出を行わなけなければなりません。
普段から頻繁に会社を設立するようなことがあれば悩むこともないと思いますが、通常そのような方はあまりいらっしゃいません。
しかも母国ではなければ更に何が必要かわからないことも多いと思いますので、今回は会社設立後の各種届出について解説を行ていきます。
目次
税務署に届出なければならないものとしては
・法人設立届出書
・青色申告の承認申請書
・給与支払い事務所等の開設届出書
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
・減価償却資産の償却方法の届出書
・棚卸資産の評価方法届出書
・消費税関係の届出書
となっており、それではそれぞれについて見てみましょう。
この法人設立届出書は新しく会社を設立したことを報告するための書類になりますが、株式会社や合同会社などすべての会社形態で提出が必要となります。
法人設立届出書は会社の設立日から2ヶ月以内に本店又は主たる事務所の所在地を管轄する税務署に提出しなくてはなりません(税務署以外にも都道府県税事務所、市町村役場にも原則、提出が必要)。
書式は定められており、下記のものになりますが国税庁や各自治体のサイトからダウンロードができますし、税務署などにも置かれています。
税務署などにおいてある用紙は4枚綴りになっていますが、1枚目が税務署への提出用、2枚目が都道府県税事務所への提出用、3枚目が市区町村役場への提出用となっており、最後の4枚目は自身の控え用のものとなっております。
添付書類としては「定款 ( 写し ) 」「登記事項証明書」「株主名簿」「会社設立時の貸借対照表」が必要になります。
確定申告の方法は、青色申告と白色申告の2種類があります。
「どっちにするべき?」「その2つは何が違う?」と疑問に思うかもしてませんが、青色申告は原則として日々の取引を複式簿記で帳簿を付けるもので、それに対して白色申告は簡易帳簿で良いとされています。
作成難易度としては青色申告の方が難しいですが、会計ソフトを活用すればそこまで難しいものではありません。
青色申告では「赤字を繰り越せる」「固定資産を一括費用化できる」などのメリットあります。
実際、多くの法人が青色申告を行っておりますので、白色申告よりも作成難易度は高くなりますが、それでも得られるメリットは大きいので青色申告をおススメいたします。
なお、青色申告は会社設立から3か月以内または最初の事業年度の末日までに下記の申請書にを提出することになります。
会社を設立して従業員を雇用する場合に提出する必要がある書類です。
経営管理ビザでは一人で会社経営を行っていく方もいらっしゃいますので提出は不要と考える方もいらっしゃいますが、ご自身の役員報酬は発生しますので提出は必要になります。
提出期間としては法人設立から1か月以内となっており、添付書類は不要となります。
原則として給与の支払が発生したら、給与の支払額から源泉徴収税額を天引きして翌月の10日までに税務署へ毎月納付をしなくてはいけないのですが、ただでさえ日頃のお仕事が忙しいのに毎月税務署へ納めるのは大変な労力になります。
ですが、給与の支払を受ける人数が常時10名未満の会社の場合は「源泉所得の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することにより、納付を半年に一回(7月、1月)にすることができます。
提出期限は特に定められていませんが、初めからの提出をしていた方が後々楽になります。
なお、添付書類は不要となります。
例えば自動車やパソコンなどのように使用する期間が1年以上となる物は購入時点では全額を経費にすることができませんが、購入後から徐々に経費に落としていくことができ、これを減価償却と言います。
減価償却の方法は主に2種類の「定額法」と「定率法」があります。どちらが良いのかはその会社の事業によって変わってきますので、税理士の方にご相談することをオススメいたします。
なお、減価償却資産の償却方法の届出書は必ず提出しなくてはいけない書類ではありません。提出しない場合には自動的に定率法での計算になりますので、初めから定率法をお考えの場合は提出をしなくても大丈夫です。
まず棚卸資産についてですが、仕入れ業などを営む場合のいわゆる在庫のことを言います。
毎期末の時点で保有している棚卸資産を評価して金額を確定しなくてはいけないのですが、その方法は主に2種類あり「原価法」と「低価法」となります。
これもその会社によってどちらが良いかは変わってきますので、税理士の方に相談を求めることをオススメいたします。
この棚卸資産の評価方法届出書の提出は任意のものとなりますので、仮に提出しなかった場合は自動的に「原価法」が適用されることになります。
提出される場合は1期目の確定申告書の提出期限までに提出をするようにしましょう。
なお、添付書類は不要です。
こちらは消費税の免税事業者か課税事業者によって提出する書類が変わってきます。
こちらについては会社の状況などによって色々と変わってくるものですので、税務のスペシャリストである税理士に相談することをオススメいたします。
都道府県税事務所・市町村役場での提出が必要な書類としては、税務署の項目でも触れていきましたが「法人設立届出書」の提出が必要になります。
各自治体によって求める提出書類が異なる場合もありますので、お住まいの地域の各自治体のHPなどをチェックするようにしてください。
年金事務所では「健康保険・厚生年金保険新規適用届」「健康保険・厚生年金保険被保険者資格届」の提出を会社設立後5日以内や入社日等から5日以内に提出しなくてはいけません。
また、被保険者となる方に扶養する者がいる場合には「健康保険被扶養者届」などの提出も必要となってきます。
労働基準監督署では「適用事業報告書」「労働保険 保険関係成立届」「労働保険 概算保険料申告書」などの提出が必要になります。
この他にも従業員の数によっては「就業規則届」が求められます。
ハローワークでは「雇用保険適用事業所設置届」「雇用保険被保険者資格取得届」が必要になるほか、外国人を雇用した場合は「外国人雇用状況届出」も提出が必要となります。
今回は経営・管理ビザで会社を設立後に届出を行わなくてはいけない内容について解説をお行っていきました。少しでも皆様のお役に立てれば光栄です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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