Column
Column
(2024年8月 更新)
「資本金は必ず500万円以上なくてはいけないのですか?」と経営・管理ビザの取得をお考えのお客様から質問を受けることがあるのですが、答えとしては間違いとなります。
たしかに経営・管理ビザを取得するために500万円以上を用意しなくてはいけないという話はよく聞きますが、その言葉だけを鵜呑みにしないようにしましょう。
今回は資本金について誤解などがないように詳しく解説をおこなっていきます。
※ 経営・管理ビザについてはこちら。
目次
まず初めに抑えていただきたいのは経営・管理ビザの要件でもある事業規模というものについてです。
これは2つあるのですが
① 日本に居住する常勤の職員が2名以上勤務していること ( 経営、管理に従事する外国人は除きます )
② 資本金又は出資の総額が500万円以上であること
となっており、2つ目に「資本金又は出資の総額が500万円以上であること」と書いてあるのを見て初めに挙げたように資本金を500万円以上用意しなくてはいけないと思ってしまう方がいらっしゃるのですが、実際にはこの2つのうちのどちらかを満たせば良いですよ、という事なので必ずしも500万円を用意しなくてはいけないものではありません。
ですが、現実的に考えると新規に事業を立ち上げる際に常勤の職員 (日本人、日本人の配偶者、永住者、永住者の配偶者、定住者) を2名以上雇うのはかなりハードルが高いですし、仮に雇えたとしても毎月の給与にプラスして社会保険等もかかってきますのでトータル的に見ると資本金500万円以上を用意したほうが安上がりに、そしてスムーズに進むことが多いのでそちらをオススメいたします。
資本金の500万円以上の金額は必ずしも外国人の方本人が用意しなくてはいけないものではありません。
親から借りた、友人に借りたなどのお金でもビザの取得は可能です。
資本金をどのようにして確保したのかについては審査の際に確認をされますので、親や親族との関係を証明する資料や親などの収入や資産を証明する資料、借りたお金であれば金銭消費貸借契約書、海外からの送金であれば送金記録を求められることもあります。
ご自身が貯めたお金であれば、その貯めていった過程がわかる通帳の提出が求められます。
そしてこの資本金は当然ながらビザ取得のための見せ金ではいけませんので注意をしてください。
次に資本金を準備するにあたって注意しなければならない事項についてですが、
資本金の払い込みができる銀行口座については3種類があります。
① 日本の銀行で日本国内にある本店、支店
② 外国の銀行の日本国内の支店
③ 日本の銀行の海外支店
この3種類になりますが、3つめの「 日本の銀行の海外支店 」については、その支店の地域にある日本企業向けに融資などを行っているものがほとんどですので、現実的には使うことができませんから①と②の2パターンになってきます。
すでに何かしらの中長期のビザをお持ちの外国人の方であれば、日本の銀行の口座を取得することができますが、海外在住で日本の銀行口座を現在お持ちではなく新たに取得することが困難な場合は①か②の口座をお持ちの日本在住の方を協力者として一時的に発起人などになってもらい、その口座を使用させてもらうことが必要になってきます。
会社の設立登記が完了した後は会社運営に必要な家賃の支払いや広告費などに使用しても問題ありませんので、仮に500万円ピッタリで会社を設立して各種の支払で経営・管理ビザの申請時に500万円を下回っていても大丈夫です。
その際にはしっかりと領収書などを会社で保管することを忘れないようしましょう。
初めから口座に経営・管理ビザに求められる500万円以上の資本金の額が入っている場合はそのままだと、そのお金が会社設立のために用意したお金なのかが判断できませんので、定款認証後の日付でその口座に資本金を振り込むことが必要になります。
そのためには事前に口座から引き落としておいて定款認証後に振り込む方法と、一旦銀行で資本金の額を引き出してその場ですぐ口座に入金をする、このどちらの方法を取ってもらっても大丈夫です。
母国の親族などから資本金を用意してもらう場合に「海外から持ち込む方法」と「海外から送金してもらう方法」の2パターンがあると思いますが、基本的には「海外から送金してもらう方法」をオススメいたします。
海外から現金を持ち込む場合に100万円以上であれば空港の税関で申告をしなくてはいけませんが、仮に申告せずに持ち込んでしまうとそれが発覚して不許可になってしまう事もありますし、なにより大金を持ち込むのは盗難などリスクが高いので海外からの送金が安全で確実です。
海外からの送金で注意していただきたいこととしては、送金手数料がかかってしまうという事です。
仮に500万円ピッタリで送金をしてもらった場合、手数料が引かれて資本金の500万円を下回ってしまいますので505万円など少し多めに送金をしてもらうようにしましょう。
また、送金には時間を要するのでスケジュールには余裕を持つことが必要です。
経営・管理ビザを個人事業主として取得を目指す場合は、今まで解説を行ってきた法人設立の場合との違いに注意をしなくてはいけません。
上陸許可基準を見てみると
二 申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること
イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する二人以上の常勤の職員が従事して営まれるものであること
ロ 資本金の額または出資の総額が五百万円以上であること
ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること
と記されており、イ~ハのいずれかの要件を満たしていれば良いことになるのですが、これ自体は法人設立のパターンと変わりはありません。
ただし、個人事業主の場合は法人と違い資本金というものがないため「 ロ 資本金の額または出資の総額が五百万円以上であること 」では要件を満たすことができません。
そのため「 イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する二人以上の常勤の職員が従事して営まれるものであること 」又は「 ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること 」で要件を満たすことになります。
さきほども話ましたが、初めからイの常勤職員を2名以上雇うのはあまりおすすめができませんので、イ又はロに準ずる規模で取得を目指す方が良いかもしれません。
この準ずる規模というのは、500万円以上を事業のために投資をすることになりますので、実際に500万円以上を投下しなくてはならないのですが、何でもかんでも事業のために投下したものとして認められるわけではなく、その立証は難しいものとなります。
事業のために投下したものとして認めてもらえるものの例としては
・事業所開設のために支払った賃料や改装費、機器代など
・事業用のPC、机、プリンターなど
・職員に支払われる給与など
があります。
以上の点を踏まえても個人事業主として経営・管理ビザを取得するのはハードルが高いものと言わざるを得ないので、多くの方は法人を設立して経営・管理ビザの取得を目指してるのが現状です。
今回は経営・管理ビザの資本金について解説を行っていきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※ 経営・管理ビザの料金はこちら。