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2023年02月12日経営・管理経営・管理ビザとは

経営・管理ビザについて

経営・管理ビザとは、外国人の方が日本で会社を設立して経営や管理を行っていきたい場合に必要なビザになります。

このビザで一番多いのは、日本で会社を設立して経営者になるパターンですが、それ以外にも取締役、支店長、工場長などを海外の事業所から呼ぼうとした場合にも経営・管理ビザが必要になります。

ちみに日本人の配偶者、永住者、永住者の配偶者、定住者などのビザをお持ちの方は就労制限がありませんので、経営・管理ビザを取得しなくても会社の経営などを行うことができますのでご安心ください。

もともと経営・管理ビザは投資・管理というビザだったのですが、対象とされていたのは外資系企業 (外国人の方又は外国企業が出資している企業) での経営や管理活動に限られていました。

それが2014年の法改正により日系企業 (外国人の方又は外国企業が出資していない企業) の経営・管理活動も追加されて現在の経営・管理ビザになりました。

また、現在の経営・管理ビザになったことにより、以前の投資・管理ビザでは申請人自身が投資 (会社を設立するために出資) しなくてはいけなかったのが、必ずしも申請人自身の出資が要件とされなくなった点が従来の在留資格との大きな違いになっています。

経営・管理ビザで行える業種

経営・管理ビザにより設立できる会社の業種は、日本において適法に行われる業種であれば、特に制限は設けられておりませんので飲食店、中古自動車販売店、貿易業、不動産賃貸業など多くの業種が対象となっております。

ただし、許認可を必要とする事業を行う場合はその許認可を必ず取得することが必要です。

例えば飲食店であれば営業許可を取得するために食品衛生責任者などが必要ですし、旅行ツアーの企画を行っていきたい場合は旅行業登録、日本で仕入れた中古品を海外へ輸出する貿易業では古物商許可が必要になります (海外から日本に中古品を輸入する場合は原則不要) 。

これらの許可は原則としてビザの申請をする時点で取得していることが必要ですので、ビザが出てから取得するのでは遅いので計画的に許可を取得するようにしましょう。

また、労働者を雇って事業を行う場合には労働保険や社会保険に加入することが必要ですのでくれぐれも忘れないようにしましょう。


経営・管理ビザの在留期間

経営・管理ビザの在留期間は5年3年1年6月4月又は3月とされています。

2015年の法改正で新たに「在留期間4月」が設けられたのですが、この背景として2012年の法改正で在留資格制度が導入されることに伴って外国人登録法が廃止されることになったのが大きく関連しています。

外国人登録法が廃止される以前は外国人の方が一人で日本に会社を設立する場合、短期滞在 (90日) ビザで来日している間に外国人登録をし、印鑑登録や日本の銀行での口座開設を済ませて会社を設立することが可能でした。

それが2012年の外国人登録法が廃止されることにより「外国人登録証明書」から現在の「在留カード」に変わったのですが、この「在留カード」は中長期の在留者でなければ取得することができないので「短期滞在 ( 90日 )」では取得がすることができず、それに伴って日本での住民票も取得できなくなりました (外国人の方が住民票を取得するには多くの場合、在留カードが必要です) 。

そのため資本金を振り込む銀行口座の開設ができず、外国人の方が一人で会社を設立することが困難になってしまったことを解消するために2015年の法改正により、法人設立前でも会社を設立する準備を行う意思があることや会社の設立がほぼ確実に見込まれることが提出資料から確認できた外国人の方には経営・管理ビザでの入国を認めることになりました。

とは言え会社が設立していない状態の外国人の方に中長期の在留資格を与えるのは適当ではないという事から、短期滞在 (90日) より長く、住民票を取得できる一番短い期間という事で「在留期間4月」が設けられるようになったのです。

実際には4月の在留期間が取得できたとしても、銀行の口座開設には在留期間6月以上であることが条件になっていることが多いですし、事務所を契約するにしても日本国内の連帯保証人を確保するのが難しいなど多くの課題がありますので、事前に日本での協力者を確保したうえで経営・管理ビザの取得を目指すことをオススメいたします。


経営・管理ビザの要件

経営・管理ビザを取得するにあたっての要件についてですが、大きく分けて3つあり、

① 事業所存在・確保に関する要件

② 事業規模に関する要件

③ 管理に関する要件

となっております。

① 事業所存在・確保に関する要件

今のご時世、パソコンさえあれば多くの仕事がどこにいても行えるようになってきていますが、経営・管理ビザの取得にあたってはそういうわけにもいかず「日本国内にすでに事務所が存在している (存在していない場合は確保されている)」ことが必要になってきます。

賃貸物件の場合

賃貸借契約書等に使用目的を事業用、店舗用など事業目的に賃貸することを明らかにし、契約者名も個人名義ではなく法人名義にすること。

ちなみに自宅での開業は認められないことが多い傾向にありますが、例えば1階が事務所で2階が居住スペースになっており、事務所の看板などをちゃんと掲げているなど居住スペースと事務所がしっかり区切られている場合は許可される可能性が高くなってきます。

レンタルオフィス等の場合

フリースペースのものは認められず独立した個室のものであれば認められる可能性が高くなってきます。

バーチャルオフィスについてはあくまで仮想のオフィスで物理的なオフィスが存在しませんから事業所とは認められません。

その他にも処分が容易な屋台等を利用する場合は、合理的な理由がなければみとめられませんし、鉄道会社のコンテナを改良した事務所も認められませんので注意が必要です。

店舗系事業の場合

飲食店などの店舗系のビジネスを行う際に特に気を付けていただきたい内容として、店舗用の物件を賃貸したとしてもその店舗内に事務所を設けないと許可が出ないという事です。

この事務所というのは、ホールや調理場の一画をパーテーションで区切ったようなものではなく、パソコン作業などが行える個室を設ける必要があります。

もし店舗内に事務所を設置できない場合は、店舗とは別の場所に事務所を借りるようにしましょう。

事務所のポイントについて解説を行いましたが当然、事務所として機能しているかも見られますので形だけの事務所ではなく、ビザの申請までには電話やファックス、コピー機、パソコンなどをしっかりと設置するようにしましょう。

② 事業規模に関する要件

事業規模という事で、ある程度の事業の規模がなくては許可が出ないことになっていますが、下記のいずれかに当てはまれば問題ありません。

1、 日本に居住する常勤の職員が2名以上勤務していること

2、 資本金又は出資の総額が500万円以上であること

それでは、上記のそれぞれの要件について見ていきましょう。

1、 日本に居住する常勤の職員が2名以上勤務していること

ここにいう常勤の職員というのは、日本人の他に日本人の配偶者、永住者、永住者の配偶者、定住者のビザをお持ちの方が該当してきます。

そして経営、管理に従事する外国人の方はカウントされませんので注意をしましょう。

常勤というのはパートやアルバイト、派遣、請負は該当せず労働日数が週5日以上、週の労働時間が30時間以上である必要があります。

2、 資本金又は出資の総額が500万円以上であること

これはあくまで事業の規模に関する基準になり、申請人自身が500万円以上を用意することまでは求められておりませんので、親や親族から借りたお金を資金とすることも可能です。

ただし設立時だけ用意するのではなく実際に事業の運営で使われることが必要です。

株式会社の場合は払込済資本の額、合同会社などの場合は出資の額が500万円以上であれば良いのですが、個人事業の場合は500万円以上を投資して営まれることが必要になりますので、この違いには注意をしましょう。

上記のどちらで申請をしようか悩んでいる場合、個人的には②の500万円以上の出資の要件で申請することをオススメいたします。

その理由としては、たしかに最初から500万円という大金を用意するのは大変ですが、仮に従業員を雇った場合は毎月の給与にプラスして社会保険等がかかってきますので、トータルで見ると常勤の職員を雇った場合の方が高額になることが多いからです。

③ 管理に関する要件

こちらは外国人の方が事業の管理に従事する場合に適用される基準になってきます。

内容としては「3年以上の事業の経営又は管理の経験を有し、かつ、日本人と同等以上の報酬を受けて事業の管理に従事すること」が必要になってきます。

経験については実際に経営又は管理を行っていた場合はもちろん、大学院で経営又は管理に係る科目を専攻していた期間も含むことができます。

次に報酬については基本的には申請人が就労する日本の機関において同じ業務に従事する日本人と同等額以上の報酬を受けるか否かにより判断されますが、これにより判断が困難な場合は、他の同業企業等における同種業務に従事する日本人と同等額以上の報酬を受けるか否かにより判断されます。


まとめ

今回は経営・管理ビザで行える業種や要件などについて触れていきました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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