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2023年02月07日特定活動特定活動46号ビザとは

特定活動46号ビザ

特定活動46号ビザとは、外国人の方が日本で働くために必要な就労ビザの一種なのですが、就労ビザの種類でよく聞くものとしては技術・人文知識・国際業務ビザや企業内転勤ビザ、技能ビザなどを思い浮かべる方も多いと思います。

技術・人文知識・国際業務ビザであればいわゆるホワイトカラーの職種で働く際に必要になりますし、企業内転勤ビザでは外国の会社から日本の会社への転勤 (本社から子会社等) 、技能ビザであれば母国の料理のコックさんなどが該当してきます。

そのため工場での生産ラインやコンビニエンスストアなどでの接客業などといった職種では、今までの就労ビザでは働くことができず、留学ビザや家族滞在ビザをお持ちの方が資格外活動許可を受けて働いていたり、就労制限のない永住者や日本人の配偶者等といったビザをお持ちの方が働くことができるくらいでした。

ところが近年、留学ビザをお持ちの方が「アルバイト先のコンビニエンスストアで卒業後も働き続けたい」といった意見やコンビニエンスストアのオーナー様からも 「留学生を就職させたい」などの意見も増えており、2019年より新たに特定活動46号というビザが新設されました。

これにより今まで就労ビザでは働くことができなかった接客業や工場の生産ライン、タクシードライバーなどでも働くことが可能となりました。

これが特定活動46号ビザというものになります。

特定活動46号ビザで働くことができる職種例

特定活動46号ビザでは従来の就労ビザでは働くことができなかった職種でも働くことができるようになりましたが、当然ながら無制限にどのような職種でも働けるわけではありませんので一例ではありますが、代表的な職種をご紹介していきます。

飲食店での接客業

飲食店では店舗での日本人への接客はもちろん、外国人客への接客や通訳を行うことができます。

厨房での調理作業や皿洗い、清掃といった業務のみを行うことができません。

小売店での接客業

小売店において、商品の仕入れや商品の企画、日本人客に対する接客はもちろん外国人客に対する通訳を兼ねた接客業を行うことができます。

商品の陳列や清掃のみを仕事とすることはできません。

ホテルでの接客業

日本人客に対する接客、外国人客に対する通訳をはじめとする接客業務やベルスタッフ、ドアマンの他にも外国語のHPの開設、更新作業などを行うことができます。

掃除のみを仕事とすることはできません。

工場での勤務

日本人の従業員から受けた指示を技能実習生や他の外国人従業員に外国語での伝達や指導をする業務。

ご自身もライン作業を行えますが、指示された内容をこなすだけの単純作業となる場合にはライン作業を行えません。

介護職

技能実習生や他の外国人スタッフの指導やご自身も施設利用者などと日本語でコミュニケーションを図りながらの介護業務。

掃除や洗濯のみを業務とすることはできません。

タクシードライバー

タクシー会社で観光客のための企画の立案や通訳を兼ねた観光案内を行うドライバー業務。

車両の整備や洗車のみを行うことはできません。


特定活動46号ビザの要件について

特定活動46号ビザを取得するには先述した職種の内容に該当しているかはもちろんですが、その他にもクリアしなくてはいけない要件がありますので、そちらについて解説を行っていきます。

① 学歴

② 日本語能力が一定基準以上

③ 勤務形態

④ 報酬

⑤ 日本の大学や大学院で習得した広い知識や応用能力を活用する業務

以上の5つの要件を満たす必要があります。

① 学歴

日本の大学や大学院を卒業していることが必要です。

日本の大学や大学院ということですから、短期大学や専門学校、日本語学校の他にも海外の大学の卒業では要件として認められませんので注意が必要です。

② 日本語能力が一定基準以上

特定活動46号ビザでは通訳や日本語でのコミュニケーションを図る業務に従事することになりますので、一定の基準以上の日本語能力が求められます。その基準を何で判断するかというと

・日本語能力試験 = N1

・ビジネス日本語能力テスト = 480点以上

このいずれかの基準をクリアすることが必要になります。

※外国人の方の日本語能力についいてはこちら

日本の大学や大学院、海外の大学や大学院で日本語を専攻をしていて卒業をしている方は上記の試験を受けていなくても日本語能力を有していると認められます。

※ 外国の大学等で日本語を専攻して卒業していても、日本での大学等の卒業は必要です。

③ 勤務形態

勤務形態は常勤性が求められます。

つまりアルバイトやパート、委任契約、請負契約は認められずフルタイムでの勤務が必要となってきます。

技術・人文知識・国際業務ビザの場合は派遣社員での勤務が認められていますが、特定活動46号ビザでは認められていない点はしっかり区別をつけておきましょう。

④ 報酬

報酬については他の就労ビザと同じことが言えますが、外国人だから日本人より給与を低く設定するというような不当な差別は認められません。

同じ仕事をしているのであれば日本人と同等かそれ以上の給与を支払う必要があります。

昇給などについても日本人と同等以上に扱うようにしましょう。

⑤ 日本の大学や大学院で習得した広い知識や応用能力を活用する業務

この要件は他のものに比べるといまいちピンときにくいかもしれませんが、従事しようとする業務が大学や大学院で学んだ内容を含んでおり、学んだ内容を活かせる業務であること又は将来的にそのような業務に従事することが見込まれていることが必要ということになります。

一般的なものとしては、

・商品開発

・技術開発

・営業

・管理業務

・企画、広報

・教育

などになります。


在留期間

特定活動46号ビザの在留期間は「5年3年1年6月3月又は法務大臣がここに指定する期間(5年を超えない範囲)」とされております。

そしてこの特定活動46号ビザは更新を繰り返すことで 、ゆくゆくは永住権の取得もできます。


転職について

特定活動46号ビザで転職をしようとする場合、原則としてはビザの変更をしなくてはいけません。

特定活動46号ビザを取得するとパスポートに指定書というものが添付され、そこには勤務する機関名と許可する活動内容が記されます。

そのため転職をすると指定書の内容と異なってしまいますので、同じ仕事内容でも勤める会社が変わる場合にはビザの変更をしなくてはなりません。

例外として、同一法人内での異動であれば変更は必要ありません。

※同一法人内とするには、法人番号が同じことが必要です。


まとめ

今回は特定活動46号ビザの概要について解説を行っていきました。まだまだあまり知られていないビザでもありますし「特定活動」と聞くと敬遠しがちな外国人の方もいらっしゃいますが、最終的には永住権も取得できるビザになりますので、選択肢の一つに入れてみるのはいかがでしょうか。

次回は特定活動46号ビザの必要書類について解説を行っていきます。


※ 特定活動46号ビザの必要書類についてはこちら

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