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(2024年7月 更新)
「外国人を雇用する場合って、普通の雇用契約書ではいけないのか?」
そんな疑問を持たれる企業様もいらっしゃるかもしれませんが基本的には通常のもので問題ありません。
ただ、外国人の方特有の項目もあるので企業の方は今回のコラムを参考にしていただければと思います。
目次
雇用契約書とは、雇用する際の内容などについて事業主と労働者の双方が合意していることを証明するもので、書面に双方の署名・捺印をして2通作成しそれぞれ1通ずつ原本を保管することになります。
労働条件通知書の交付は法律上義務付けられておりますが、雇用契約書の場合は法律上義務付けられているものではありません。
ただし、後々のトラブルを未然に防止するという観点から考えると雇用契約書の取り交わしは行っておいた方が良いでしょう。
また、外国人の方は書面の契約を重要視する傾向にあります。
日本の場合は契約書は形式的な書類と捉える方も多いですが、海外では契約書の内容に沿って業務が進められますので、業務に関する記載の漏れなどが発生しないよう慎重に作成しましょう。
雇用契約書には労働基準法施行規則第5条第1項に「 書面で明示しなく他はいけない項目 」が定められております。その内容は
・労働契約の期間に関する事項
・就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
・始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
・賃金 ( 退職手当及び第5号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。 ) の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
・退職に関する事項
※ 昇給に関する事項は必ず書面による明示が必要なわけではなく、口頭や就業規則に記載されていればその交付でもかまいません。
・退職金支払いの規定がある場合、その規定が適用される労働者の範囲や退職金の決定、計算、支払方法、支払時期
・退職金以外の臨時的な賃金、賞与、最低賃金額に関する事項
・労働者に負担させる食費、作業用品、その他に関する事項
・安全衛生に関する事項
・災害補償や業務外の傷病扶助に関する事項
・職業訓練に関する事項
・表彰、制裁に関する事項
・休職に関する事項
※ 必ず書面による明示が必要なわけではなく、口頭や就業規則に記載されていればその交付でもかまいません。
雇用契約書で注意しなくてはいけない点は下記のとおりになります。
多くの企業では外国人の方に対する雇用契約書も日本人に対するものと同じものを使用していますが、できるだけその外国人の方の母国語または英語が併記された雇用契約書を作成するようにしましょう。
いくら日本語能力試験等で成績が良い方でも特殊な表現などがされているとその意味が伝わらないこともありますし、誤解を招く危険もあります。
母国語又は英語での併記をする場合はできるだけシンプルでわかりやすいものにしましょう。
給与については、就労ビザの要件の一つに「 日本人と同等以上の報酬 」というものがありますので、外国人だから…というのは認められず、明らかに低いような場合にはビザが不許可となってしまいますので注意をしましょう。
もし、外国人の方と同じ業務に従事する者がいない場合や他に従業員がいない場合には、同地域で同じ業務に従事する日本人と同程度の給与とするようにしましょう。
例えば就労ビザの代表的なものとして技術・人文知識・国際業務ビザがありますが、その要件の中には「 職種と大学等の専攻との関連性 」が求められております。
従事する業務内容を大きいくくりのみで書いてしまうと、本来ならば関連性が認められる業務のはずが誤解を受けて関連性が認められないという判断をされてビザが不許可となってしまう危険性もあります。
そのため、業務内容の記載はできるだけ具体的に記載するようにして、誰が読んでも誤解しないような内容にしましょう。
ビザは在留期間が決まっておりますが、雇用契約書に記載する契約期間については「 期間の定めなし 」と記載しても問題ありません。
また有期雇用契約の場合は、契約期間と更新の有無についてもしっかり記載しましょう。
雇用契約の更新がある場合には更新の基準や更新をしない場合には契約満了日の何カ月前までに通知するかなどを明確にしておく必要があります。
もし就業規則にそれらを記載している場合は雇用契約書と一緒に就業規則も配布するようにしましょう。
日本の場合、入社して一定期間は研修を行う企業が多いと思いますが、その研修についても雇用契約書に記載しておきましょう。
例えば技術・人文知識・国際業務ビザの場合はいわゆるホワイトカラーの職種に就くためのビザになるので、販売や単純労働などを行うことは想定されておりません。
ですが職務上、現場での労働が今後の成長などに必要な場合は、短期間の研修の一環として認められることもありますので、その旨を雇用契約書に記載するようにしましょう。
併せて研修のスケジュールや内容についても別添の資料で提出するようにしましょう。
この停止条件というのは、外国人の方を雇用する場合特有のものになります。
就労ビザの申請は企業と外国人の方が雇用契約を締結した後に申請することになりますので、仮に許可が出なければいくら雇用契約を締結していても働くことはできません。
そのため、雇用契約書には
例 ) この雇用契約は、日本政府の正当で就労可能な在留資格の許可または在留期間の更新を条件として発行する
というような文を入れておく必要があります。
今回は外国人の方向けの雇用契約書について解説を行っていきましたが、基本は日本人に対すると同じ内容でかまいませんが、外国人の方特有な部分には十分に注意して作成をするようにして後々のトラブルを未然に防ぐようにしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。