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effortコラム

2023年10月03日外国人の雇用留学生は調理専門学校を卒業して調理師として働ける?

留学生は学校卒業後に調理師で働ける?

「調理専門学校を卒業した留学生を調理師として雇用できますか?」

このようなご相談を受けることがありますが、たしかに普段から外国人の方を積極的に行っているような企業でない限り、雇用しようとしている外国人の方がどのビザを取得可能なのかはわかりにくいものです。

今回はそのような企業様のためにも日本の調理専門学校を卒業した留学生の方を調理師として雇用できるのか、また、雇用できない場合はどのビザであれば雇用できるのかについて解説を行っていきます。

技能ビザ

まず調理師と聞くと一般的には「技能ビザ」を思い浮かべる方も多いのではないのでしょうか。

技能ビザで行える活動は本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動とされており、外国料理の調理師やスポーツ指導者、航空機の操縦者などが該当してきますので、ここまで読むと調理専門学校を卒業後に調理師として雇用できそうに感じますね。

では次に外国料理の調理師として技能ビザを取得するための外国人の方の要件を見ていきましょう。

実務経験10年以上(教育機関において当該料理の調理や食品の製造に係る科目を専攻して教育を受けた期間を含む)

※タイ料理の調理師の場合はタイ労働省技能開発局が実施する調理師国家資格のレベル1以上を有すること、申請日の一年前以内の間にタイ国内でタイ料理人として妥当な報酬を受けており、又は受けていたことがあることを示すことにより、必要な実務経験が5年となります。

例えば、日本の調理専門学校の2年課程を修了したとしても上記の要件には当てはまらずに技能ビザによって料理師として雇用することはできません。

もちろん、本国で実務経験が8年以上あった場合であれば日本の専門学校で学んだ2年間を加えて実務経験10年を達成することができますが、多くの場合は既に調理師として働いていたのに改めて日本の専門学校に通学される方はあまりいらっしゃいませんので、このパターンは稀です。

では、せっかく日本の専門学校を卒業したのに調理師などの仕事に就くことはできないのでしょうか?


特定活動『日本の食文化海外普及人材育成事業』

農林水産省において、日本の食文化の海外普及を目的に調理又は製菓の学校を卒業した外国人留学生が、日本国内の飲食店等で働きながら技術を学べる制度が設けられております。

それがこの特定活動の日本の食文化海外普及人材育成事業になります。

対象となる外国人の方は満18歳以上で調理師養成施設、製菓衛生師養成施設等のこの制度の取組実施機関において調理師若しくは製菓衛生師に必要な知識及び技能を修得した『調理師(申請資格を得たものを含む)』『製菓衛生師(申請資格を得たものを含む)』等となり、調理等(製菓・製パン含む)の技術を要する業務に特化した活動を行うことができます。

なお、働くことができる料理店の一例としては

・日本料理

・ラーメン店

・そば・うどん店

・すし店

・喫茶店

・お好み焼き・焼きそば・たこ焼き店

などがあります。

その他にも菓子小売業、パン小売業、旅館・ホテルの飲食店でも働くことが可能となっております。

ただし、この制度は日本の食文化の海外への普及促進を目的としているため、在留期間は上限5年(但し、製菓衛生師資格を取得していない場合は、上限3年)となっておりますので、期間の上限を迎えたら帰国しなくてはいけません。


技術・人文知識・国際業務ビザ

大学や専門学校を卒業して就労する際に申請する方が多い技術・人文知識・国際業務ビザで雇用を目指すという選択肢もあります。

ちなみに技術・人文知識・国際業務ビザで行える活動は本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動とされており、該当例としては、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者などがあります。

この活動範囲や該当例を見ると「え、調理師は入っていないのでは?」と思われるかもしれませんが、残念ながら技術・人文知識・国際業務ビザでは調理師では雇用することができません。

そのため、専門学校で学んだ知識を活かしてメニューの開発や店舗管理などの事務系の仕事を行うようにすればレストランなどの運営を行っている企業で雇用してビザが取得できる可能性はあります。


特定技能『外食』

2019年の4月から始まった特定技能の外食分野でも飲食店等での雇用が可能です。

調理専門学校等を卒業した留学生を雇用する場合は、留学生の方が日本語試験(国際交流基金日本語基礎テストor日本語能力試験(N4以上))と外食業特定技能1号技能試験を合格していることが必要ですが、業務の範囲は「飲食物調理」「接客」「店舗管理」と幅が広いのが特徴です。

この特定技能での在留期間は、1号特定技能で最長5年2号特定技能では無期限となっております。

ただし、特定技能で雇用をする場合には他の就労ビザと違って自社若しくは登録支援機関によって外国人の方の支援を行わなければないので、事前に支援計画の作成をしなくてはいけないかったりと労力がかかってしまう点には注意が必要です。


身分系のビザ

身分系のビザの永住者日本人の配偶者永住者の配偶者定住者をお持ちの方が調理専門学校等を卒業した場合であれば先に挙げたビザは就労制限がありませんので、日本人と同じように雇用が可能です。


まとめ

今回は「調理専門学校等を卒業して調理師として働くことができるのか」という事について解説を行っていきました。

身分系のビザ以外では色々と制限があって調理師として働くことは難しいのが現状ですが、雇用しようとしている方の人柄などを考えて「どうしても採用したい!」とお考えの場合は是非、effort行政書士事務所までお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

まずはお気軽にご連絡ください。