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(2024年7月 更新)
就労ビザの一つである技術・人文知識・国際業務ビザから永住権の取得を目指す方は実際、多いものです。
その理由としては技術・人文知識・国際業務ビザは活動範囲に一定の制約がありますので、その制約を外すためや更新の手間を省きたいという考えをお持ちの方が多いように感じます。
今回はそのような方たちの参考になれば、という事で「技術・人文知識・国際業務ビザから永住権」について解説を行っていきます。
※ 技術・人文知識・国際業務ビザについてはこちら。
※ 永住権についてはこちら。
① 素行が善良であること
② 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
③ その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
となっております。
以前のコラムでこの永住ビザの要件については触れておりますが、今回は技術・人文知識・国際業務ビザから変更する際のポイントも記してあります。
言い換えると「 ちゃんと法律を守っていて普段の生活でも周りから非難されるようなことをせずに日常生活を送っていることが必要 」ということです。
具体的には
1.日本国の法令に違反して、懲役、禁固又は罰金に処せられたことがある者
2.日常生活または社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行う等素行善良と認められない特段の事情がある者
に該当する方は、永住申請の要件を満たしていないという事になります。
1つ目の「 日本国の法令に違反して、懲役、禁固又は罰金に処せられたことがある者 」ですが、要は悪いことをして処罰されている人が該当します。
ただし、一度でも処罰を受けたらもう永住申請ができないとなってしまうとあまりにも酷なので、執行猶予の期間を経過してその後さらに5年を経過したときや、禁固刑以上の刑の執行を終わり又は禁固刑以上の刑の執行を免除された者が罰金以上の刑に処せられないで10年以上経過したとき等は日本国の法令に違反して処罰されていない者として扱われますので、それらの期間が過ぎれば永住申請が許可になる可能性が出てきます。
2つ目の「 日常生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行う等素行善良と認められない特段の事情がある者 」ですが、上記の一つ目で書いた「 日本国の法令に違反して、懲役、禁固又は罰金に処せられたことがある者 」に該当しないような軽微な法令違反でも同じ行為を繰り返し行う者や周りに多大な迷惑を及ぼす活動を繰り返し行う者が該当します。
一番イメージしやすいのは交通違反です。
一時不停止や駐車違反、合図不履行などを繰り返し行われると事故の危険性も高く、周りの人からしても迷惑なのでこれに該当します。
逆を言えば軽微なものであれば一回で即、不許可になるわけではないという事ですね。
目安として過去5年間で5回以上行っていないこととされています。
ただし、明らかな故意による飲酒運転、無免許運転、20キロ以上の速度超過などについては軽微なものとは言えませんので注意をしてください。
その他にも技術・人文知識・国際業務ビザをお持ちの方でご結婚をされている場合に、配偶者等が家族滞在ビザを持って日本にいらっしゃるようであれば、一つ気を付けていただきたいことがあります。
家族滞在ビザでは原則として働くことができませんが、「 資格外活動許可 」を取得することによって原則週28時間まで働くことが可能となりますが、週28時間を越して働いてしまうとオーバーワークということで違反になってしまいます。
もし家族滞在ビザをお持ちの配偶者等がオーバーワークの場合、技術・人文知識・国際業務ビザをお持ちの方の監督不行となってしまい永住申請が不許可になってしまいます。
そのようなことにならないためにも永住申請に先立って配偶者の方などと話しをして「 資格外活動許可 」の範囲内で働いているかなどの確認をするようにしましょう。
これは「 日常生活において公共の負担になっておらず、かつ、その者の職業又はそのものの有する資産等から見て将来において安定した生活が見込まれること 」を意味しています。
例えば生活保護を受けていると、安定した生活が見込まれているとは言いがたいですよね。なのでこの場合は不許可リスクがかなり高くなります。
では生活保護を受けていなければ要件を満たせるのかというと決してそういうわけではなく、将来において安定した生活が見込まれるためには、ある程度の収入がなくてはいけません。
はっきりとした基準があるわけではないのですが、目安としてはビザによって5年連続で年収300万円以上が必要だと言われています。
あくまで目安ですので状況によっては年収300万円以下でも永住申請が許可されることもありますから、その場合は一度ご相談ください。
それに加えて扶養家族が増えるごとにまたプラスで年収が必要になってきます。
これもはっきりとした基準があるわけではなく、一人増えるごとに20~70万円がプラスで必要になると言われています。
ここで一つ例を挙げてみると一番高い額の70万円の場合は妻(夫)がいる場合、一人を扶養していることになるので70万円プラスになり、年収は370万円必要になります。
さらにお子さんが一人いればまた扶養人数が増えるので70万円プラスになり合計で440万円の年収が必要になる、ということですね。
たまに母国の家族を扶養に入れている方がいらっしゃいます。
正当な理由で扶養をしていれば問題ありませんが、中には税金を減らすことを目的として本当は入れる必要がないのに扶養に入れているケースも見られますので、その場合はちゃんと扶養から外しましょう。
とは言え2016年以降は指定された書類を提出しないと扶養できないようになっていますので、注意が必要なのは2016年以前に行っていた方になります。
この独立生計要件は必ず申請者本人が満たさなくてはいけないわけではなく、永住ビザを取りたい方が主婦で働いていない場合などは、配偶者がこの独立生計要件を満たせば許可が出る可能性があります。
また、配偶者が年収300万円の要件を満たさなくても、日本人の配偶者等など就労制限のない在留資格で得た年収をプラスして要件をクリアできる場合もありますが、合算せず申請人本人か配偶者が年収300万円をクリアしたほうが無難です。
最後にもう一点、注意が必要なこととして就労系の在留資格をお持ちの方の「 転職 」です。
永住申請の観点から考えると転職の回数が多かったり、転職前の給与の方が高かった、転職前と同じ給与水準などの場合は安定して生活を送れているとみなされず不許可リスクが高くなってしまいますので、その場合は1年以上経過してから永住申請をすることをオススメいたいします。
この③は大きく分けて4つのポイントがあり
1、原則として引き続き10年以上日本に在留していること。また、この期間のうち、就労資格又は居住資格をもって継続して5年以上在留していることを要する。
2、罰金や懲役刑を受けていないこと納税義務等公的義務を履行していることを含め、法令を遵守していること。
3、現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること。
4、公衆衛生上の観点から有害となる恐れがないこと。
このようになっていますので、それぞれ解説を行っていきます。
つまり10年以上日本に住んでいて、そのうちの直近の5年以上は技術・人文知識・国際業務ビザで在留していることが必要になってきます。
例えば初めは留学ビザを持って5年間日本で生活をしていて、その後に技術・人文知識・国際業務ビザに変更して5年経過した場合は日本に10年住んでいますし、直近の5年間を技術・人文知識・国際業務ビザで過ごしていますので要件を満たしていることになります。
では、このケースでは要件を満たすでしょうか?
「10年日本に住んでいて初めの会社で3年間働いて退職し、その後に在留期限が残っていたので2年くらい働いていない期間があり、再就職して3年経過した。」
答えとしては、要件を満たしていません。
10年以上日本に住んでいて、前の会社と今の会社で合わせて6年働いているので一見すると要件を満たせそうですが、直近で5年間働いていないので要件は見たしていないことになります。
それと、引き続きと書いてありますが、これはビザが途切れることなく日本に住み続けていることが必要という意味です。
たまに勘違いして永住申請するまで一度も日本を離れてはいけないと考える方がいますので注意してもらえればと思います。
ただし、一回の出国で3か月以上や年間で100日以上の出国がある場合は、引き続きの要件に引っかかってしまう可能性がります。
これは素行要件のところと重なる部分があるのですが、法律違反をして懲役、禁固、罰金等を受けていてはいけませんし、本来払うはずの税金や年金、公的医療保険の保険料などを払っていないのだめですよ、ということですね。
会社員の方は、会社で社会保険に加入していて年金も給与から天引きされているのがほとんどだと思いますが、もしご自身で払っている場合は忘れず期日までに確実に払い続けるようにしてください。
特に永住申請にあたっては未加入・未納がある場合は原則として不許可になってしまいますし、納めていないことに気付いて遅れて払った場合も不許可になりますので注意が必要です。
もし、納期を守っていなかったことが発覚した場合などは、永住申請をする前の最低2年間は期日を守って払い続けている実績を作り、理由書で納期を守っていなかった反省やその後の対策を記載したほうが良いでしょう。
在留期限が近付いてきたら在留資格を更新すると思いますが、更新をすると1年、3年、5年のいずれかで新しく在留期間が設けられます。
その最長という事は5年の在留期間が必要になるのですが、当面の間は3年の在留期間で良いとされていますので、もし永住申請を考えている方で現在の在留期間が1年になっている方は更新を重ねて3年の在留期間を取得してから永住の申請を行いましょう。
文言だけ見るとあまりピンとかないかもしれませんが、例えば麻薬、大麻、あへんや覚せい剤などの中毒者やエボラ出血熱、ペスト、結核などの感染症に罹患している方が公衆衛生上の観点から有害となる恐れがあると判断されてしまいます。
また、自宅がごみ屋敷になっている場合も公衆衛生上の観点から有害となる恐れがあると判断されてしまうので、こまめなごみ出しなどをしましょう。
今回は技術・人文知識・国際業務ビザから永住権を取得するためのポイントを解説いていきました。
以前のコラムの内容に加えて技術・人文知識・国際業務ビザ特有の注意点も載せてありますので永住権の取得を目指している方のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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