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(2024年8月 更新)
今回は技術・人文知識・国際業務ビザを取得するために抑えておかなければならない要件について解説を行っていきます。
国際化の波に乗って、新たに外国人の方を雇用しようとお考えの企業様は是非、参考にしていただければと思います。
※ 技術・人文知識・国際業務ビザについてはこちら。
目次
① 職種と大学等の専攻との関連性
② 申請人である外国人の方の経歴
③ 会社の経営状態
④ 会社と申請人である外国人の方との間で雇用契約が締結されていること
⑤ 日本人と同等以上の報酬であること
⑥ 本人の素行
大きく分けるとこの6つの要件を満たさなければ技術・人文知識・国際業務ビザを取得することはできまないことになります。
それぞれの要件について詳しく見ていきましょう。
技術・人文知識・国際業務ビザで働くことができる職種は専門性を求められるものになりますので、大学(専門学校)を卒業しさえすれば「システムエンジニア」「金融関係」「通訳」などのどの職種でも働くことができるというわけではなく、大学(専門学校)で専攻してきた内容と仕事の関連性がしっかりあるかどうかを考えなくてはいけません。
その関連性があるかどうかは大学(専門学校)の成績証明書などを使って確認をしていくのですが、専門学校を卒業している外国人の方のほうが大学を卒業している外国人の方に比べて専攻してきた内容と職種の関連性の判断が比較的、厳しく行われているような印象があります。
多くの場合は専攻してきた内容と働こうとする職種の関連性があるかどうかの判断はつきやすいと思いますが、もし判断がつきにくい場合は出入国在留管理局に問い合わせてみましょう。
技術・人文知識・国際業務ビザを取得するためには申請人である外国人の方の経歴が重要になってきます。
経歴は申請人である外国人の方の「学歴」か「実務経験」のどちらかで満たすことになりますが、多くの方は「学歴」でこの要件をクリアしています。
まずは大学卒業についてですが、この範囲としては大学の他にも大学院、短大、高専の卒業で学歴の要件を満たすとされています。
ここでのポイントは上記で挙げた学校の卒業は、日本の学校だけではなく母国など海外での学校の卒業も対象として扱われるということです。
大学など以外にも専門学校を卒業していれば学歴での要件を満たすことができます。
専門学校の卒業で学歴での要件を満たそうとする場合に注意しなくてはいけない点があります。
それは海外の専門学校の卒業は対象とされていないということです。
この点は大学等の卒業と違うところでもありますので、くれぐれも間違わないようにしましょう。
学歴で要件を満たそうとする場合に覚えていてもらいたい内容についても解説を行っていきます。
一つ考えてみてもらいたいのですが、母国で大学を卒業後に日本の専門学校に入学した外国人の方がその専門学校を卒業することなく中退してしまった場合は、技術・人文知識・国際業務ビザを取得するための学歴での要件を満たすことは可能なのでしょうか?
答えは可能です。
既に母国で大学を卒業しているので、仮に日本の専門学校を中退していても学歴での要件を満たしていることになります。
外国人の方は母国の大学を卒業してから留学にくる方も多いので覚えておいた方が良いかもしれません。
また、一つの選択肢としてのお話になりますが『① 職種と大学等の専攻との関連性』のところでもお話をしましたが、専門学校卒業の場合は大学卒業よりも専攻した内容と職種の関連性の判断を厳しく見られる傾向があります。
もし大学と専門学校の両方を卒業している場合は大学の専攻に合わせて就職先を探すというのも方法の一つとなります。
※ 学歴の要件の詳細についてはこちら。
学歴での要件で大学、専門学校等の卒業が必要と解説をしましたが、仮に最終学歴が高校卒業の方であったとしても技術・人文知識・国際業務ビザを取得することは可能です。
その場合は実務経験で要件を満たすことになるのですが 「3年以上、または10年以上の実務経験があること」が求められます。
この実務経験はあくまで技術・人文知識・国際業務ビザで働こうとしている職種のものになるので肉体労働や単純作業などでの実務経験は含まれておりません。
そして実務経験の期間の考え方としては実際に働いている期間だけではなく大学や専門学校、高校等でその職種に関連する科目を専攻していた場合は、その期間も実務経験にカウントすることができます。
原則として10年以上の実務経験が求められるのですが「外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務(翻訳・通訳・語学の指導・広報・宣伝又は海外取引業務若しくは室内装飾に係るデザイン・商品開発)の場合は3年の実務経験で要件を満たすとされています。
こちらは雇用しようとしている会社側の要件になるのですが、外国人の方を雇用するにあたって会社の経営状態が安定していることが必要となってきます。
出入国在留管理局は主に決算書を見て会社の経営状態を判断していきます。
仮に赤字であっても必ず不許可になるわけではありませんので諦めないようしましょう。
ただ赤字の場合は「この会社は雇用した外国人の方にちゃんと給与を支払っていけるのだろうか」と思われてしまいますので、事業計画書を作成して現在は赤字でも今後、黒字化するための具体的な方針などをしっかり示せればこの要件をクリアすることは可能です。
新設会社の場合は決算書がありませんので、この場合も事業計画書を作成することが必要となります。
たまに誤解してしまっている方がいらっしゃるのですが、各就労系のビザは会社と外国人の方との間でしっかりと雇用契約が締結されていなければ取得することはできません。
「就労ビザが取得してから雇用契約を締結しよう」という考えではいけませんので注意をしましょう。
この雇用契約が締結されているかどうかは雇用契約書によって判断されることになります。
雇用契約よりは若干、難易度は高くなりますが請負契約や派遣での契約でも要件を満たすことは可能です。
外国人だから日本人よりも給与を低く設定するような不当な差別はいけません。
同じ内容の仕事をしているのであれば、日本人と同じかそれ以上の給与を支払うようにしましょう。
新卒での雇用の場合は比較的簡単に日本人と同等の給与の設定ができるかと思いますが、中途採用の場合はその人の経歴や資格などによって給与が変わるので設定が難しいかもしれません。
もし自社に賃金体系が決まっていない場合は同業他社の賃金体系を参考にしてみるのも良いでしょう。
申請人である外国人の方の素行が善良であることが必要なのです。
普通に日常生活を送っている限り逮捕されるようなこともないので、こちらの要件はあまり問題にはならないと思います。
ただし、現在何かしらのビザをお持ちの方が資格外活動許可を受けている場合には注意が必要です。
この資格外活動許可を受ければ就労系のビザでなくても原則週28時間まで勤務可能なのですが、たまにその時間をオーバーして働いてしまっている方を見かけます。
その場合は技術・人文知識・国際業務ビザの取得は難しくなってしまいますので、せっかく採用しても働けないということにもなりかねません。
そのようなことを防ぐためにも外国人本人が就労時間を守ることはもちろんですが、会社の面接担当の方もしっかりとヒアリングすることを忘れないようにしましょう。
以上の6つが技術・人文知識・国際業務ビザを取得するためにクリアしなければならない要件となります。
日頃から外国人の方を雇用している会社でなければ判断が難しいようなものもあるかもしれません。
何かご不明なことがあればeffort行政書士事務所までお気軽のご相談ください。
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