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effortコラム

2023年11月05日その他日本人と離婚した場合にビザはどうなる?

日本人と離婚したらビザは?

「離婚したらビザはなくなりますか?」

「離婚したら日本を出なきゃいけませんか?」

外国人の方からこのようなご相談を受けることがたまにあります。

日本人と結婚した外国人の方は「日本人の配偶者等」のビザをお持ちの方が多いので、たしかにそのような不安に感じてしまうことはあると思います。

今回はもし離婚してしまったらビザがなくなってしまうのか、日本を出なくてはいけないのかということはもちろんですが、日本人と離婚する場合にどのような手続きが必要なのか、日本に在留し続けるためには何が必要なのか、などについても解説を行っていきたいと思います。

今回のコラムがいざという時のための備えになれば幸いです。

日本人の配偶者と離婚してから行うこと

日本人の配偶者等のビザをお持ちの方が、日本人と離婚した場合に配偶者に関する届出を行わなければいけません。

この配偶者に関する届出は日本人の配偶者と離婚した場合はもちろん、日本人の配偶者の方が亡くなった場合にも、その事由が発生した日から14日以内外国人の方本人による届出が必要となります。

届出方法は

インターネットによる届出

利用にあたって出入国在留管理庁電子届出システムに登録が必要です。

24時間、365日オンラインで届出を行うことができます。

窓口に持参

最寄りの地方出入国在留管理署において、在留カードを提示して届出書を提出のこと。

郵送

届出書に在留カードのコピーを同封して、封筒の表面に朱書きで届出書在中又はNOTIFICATION ENCLOSEDと記載して下記まで郵送

〒160-0004 東京都新宿区四谷1丁目6-1四谷タワー14階

東京出入国在留管理局在留調査部門届出受付担当

郵送の場合は、届出書が届いたことの連絡等を行っておりませんので、配達状況の記録が残る・追跡確認ができる方法での発送をお勧めしています。


届出する内容は、外国人の方の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居及び在留カード番号の共通記載事項に加えて日本人の配偶者との離婚又は日本人の配偶者が亡くなった日を届け出ることになるのですが、窓口・郵送での届出の場合は出入国在留管理庁のHPに届出様式がありますので、そちらを使用することをお勧めします。

配偶者に関する届出を怠ってしまうと罰金に処せられてしまうことがありますし、仮に罰金に処せられなかったとしても次回のビザの更新などに不利に働くことがありますので、忘れずに届出るようにしましょう。


そのままのビザで日本に残ることはできる?

日本人の配偶者等のビザは日本人の配偶者として在留することができるビザになりますので、離婚して配偶者ではなくなったのであれば、そのままのビザでは在留し続けることはできません。

ただし、離婚してすぐにビザの効力がなくなって帰国しなくてはいけないわけではありません。

一応は現在お持ちのビザの在留期限までは日本に在留し続けることができますが、離婚後6か月以内には別のビザに変更することが必要となってきます。

離婚後にビザの変更を行わず6カ月を超してしまうとビザの取り消しがされることがありますし、次回のビザの更新の際に不利に働いてしまうことにもなりますので引続き日本に在留したい場合は、必ず期限内にはビザの変更をしましょう。


引き続き日本に在留し続けるためには?

離婚後も日本に在留し続けるためにはビザの変更をする必要がありますが、変更には何パターンかありますので、それぞれいていきましょう。

身分系のビザへの変更

身分系のビザということでまず考えられるのは離婚後に別の日本人と婚姻をすることにより、そのまま日本人の配偶者等のビザで在留することが可能です。

ただし、別の日本人と婚姻をしているので次回のビザの更新の際には新規でビザの申請をするのと同じ難易度になります。

また、日本人ではなく永住者の方と婚姻をすれば永住者の配偶者等のビザへの変更も可能です。

その他にも就労系のビザをお持ちの方と結婚をして家族滞在ビザへ変更するという方法も考えられますが、家族滞在ビザの場合は原則として就労することができず、就労をしたい場合には資格外活動許可を得る必要があります。

就労ビザへの変更

代表的なものでは過去に大学等を卒業している方であれば、技術・人文知識・国際業務ビザへの変更が可能です。

他の就労ビザとして技能ビザなども可能ですが、技能ビザの場合は産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務で実技経験が10年以上求められますのでその要件を満たすのが難しく、技能ビザへ変更できる方は少ないのが現状です。

その他の就労ビザに変更する場合でも各種要件を満たせば可能です。

経営・管理ビザへの変更

起業して経営者となり経営管理ビザの取得を目指すことも可能です。

経営・管理ビザでは業種や業態に制限はなく、法人の設立でも個人事業主としてでも取得は可能ですが、日本で常勤の従業員を2名以上雇うことか出資の額が500万円以上などの要件が設けられているので取得の難易度は高いものです。

留学ビザ

上記の就労ビザや経営・管理ビザの取得が難しい場合には、留学ビザというのも一つの選択肢として考えられます。

ただし、専門学校や大学などに通うことになりますので学費を確保することはもちろん、在学中の生活費をどのようにするのかも考えなくてはなりません。

なお、留学ビザでは原則として働くことができないので、就労をしたい場合には資格外活動許可を得る必要があります。

定住者ビザへの変更

最後に定住者ビザですが、こちらのビザは先に述べた日本人の配偶者等や永住者の配偶者等などと同じように就労制限がなく、日本人と離婚した外国人の方がこのビザに変更することを希望されることが多く見られます。

もちろん申請をすれば必ず定住者ビザへの変更ができるわけではありません。

定住者ビザへの変更をするためには、離婚後も日本に残りたいという合理的な理由が必要となりますし、その他にも婚姻期間がおおむね3年以上があったり、離婚後も独立して生計を営む能力(資産や技能)を有していること、日常会話程度の日本語能力を有していることなどの要件を満たしていることが必要となります。

なお、日本人の方との間に生まれた日本国籍の子供がおり、その子供の親権を取得して育てていく必要がある場合は離婚後も日本に残る合理的な理由がありますので、あまり婚姻期間は問われなくなっております。


まとめ

今回は外国人の方が日本人と離婚した場合について解説を行っていきました。

現在、日本には多くの外国人の方がいらっしゃいますので、今後は国際結婚も今まで以上に増えてくると思います。

そうなると今回の題材にした離婚に伴う問題が発生する可能性もありますので、いざという時の参考にしていただけると幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

まずはお気軽にご連絡ください。