Column
Column
(2024年7月 更新)
私が学生だった頃(20年くらい前ですが…)に比べて、最近は専門学校や大学などを見ても留学生の方が多くなった印象を受けます。
そうなると留学生として在留中に日本人と恋人関係に発展し、結婚するというパターンも十分に考えられるご時世です。
今回は今述べたように留学生が日本人と恋人関係になり、結婚した際に配偶者ビザへの変更をする際の注意事項などについて解説を行っていきます。
まず気になるのは、日本人の配偶者等にビザを変更するとどんなメリットがあるのかだと思います。
メリットとしては『 就労制限がなくなる 』『 永住申請が可能 』といったことが挙げられます。
留学ビザの活動目的はあくまで日本の大学等で教育を受けることになりますので、原則として就労することはできませんが、例外的に『 資格外活動許可 』を取得することにより、在留カードの裏面に原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除くという記載がされ、留学ビザであっても就労が可能となります。
ところが日本人の配偶者等のビザに変更をすると、就労制限がなくなりますので週28時間 ( 学校の長期休暇中は1日8時間以内 ) という時間の制限を気にせずに働くことができるようになります。
また、資格外活動許可では時間の制限以外にもキャバクラ・ゲームセンター・パチンコ店など風営法に関わる仕事は禁止されていますが、日本人の配偶者等のビザではその点も制限はされていません。
他にも学校卒業後に日本で就職をするとなった場合は各就労ビザの要件に合致していないと留学ビザから就労ビザへの変更は行えませんが、日本人の配偶者等のビザであればその点も気にせずに就職をすることができます。
これは雇う側の企業としても要件に合致しているか等を確認しなくて済むようになるので雇いやすくなるというメリットがあります。
さらに就労ビザの場合は、就職後に何らかの理由により退職することとなった場合に3か月以内に再就職をしないとビザの取り消し対象となってしまいますが、日本人の配偶者等のビザであれば退職をして3か月以上経過してもビザの取り消し対象とはなりません。
日本に在留している外国人の方の中には、最終的には永住権を取得したいという方も多いと思います。
通常、永住権を取得するための要件として『素行が善良であること』『独立生計を営む資産や技能があること』『その者の永住が日本の利益となること』というものがあります。
ところが日本人の配偶者等のビザに変更することにより『その者の永住が日本の利益となること』の要件が緩和されます。
この要件の中には原則として引続き10年以上日本に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。というものがありますが、日本人の配偶者等のビザでは婚姻期間が3年以上であれば最短で1年以上日本に在留していれば永住申請が可能となります。
とは言え、実際上は留学ビザは日本で勉学に励むためのビザになりますので永住申請は難しいものがありますから、永住権を目指すようであれば就労ビザに変更するか日本人の配偶者等の身分系のビザに変更する必要があります。
ここまで日本人の配偶者等のビザに変更することによるメリットを解説してきましたが当然、無条件でビザの変更をすることはできませんので、注意点についても触れていきましょう。
留学ビザでの活動は日本の大学、専門学校等で教育を受けることになりますので、学校での出席率が低かい・成績が悪い場合には卒業するのはもちろん、就職することも難しくなりますから「ただ日本に残り続けたいから日本人の配偶者等のビザに変更するんじゃないですか?」と疑いをかけられてしまいます。
出席率について一つの目安を提示すると「80%以上」は必要と言われております。
ただし、絶対に80%以上の出席率がないといけないかというとそうではなく、それを下回る場合には合理的な理由があれば許可が出る可能性はあります。
これは先ほど触れた出席率・成績と同じではありますが、退学してしまっては留学ビザの目的を果たせていませんから、やはり「ただ日本に残り続けたいから日本人の配偶者等のビザに変更するんじゃないですか?」と疑いをかけられてしまいます。
日本人の配偶者等のビザへの変更に限らず、留学ビザから就労ビザへの変更でも特に注意が必要なものになります。
実際、留学生の方で資格外活動許可を得てアルバイトをしている方を多く見かけますが、『原則週28時間』『長期休暇中は1日8時間』をオーバーしてしまっている場合は、当然ながら違法行為になってしまいますのでビザの変更は不許可となることが非常に高いです。
「少しくらいなら…」と甘く考えないように注意しましょう。
また、ご自身ではアルバイトの時間をしっかり守っているつもりでも時間のカウントの仕方を誤っていて結果的にオーバーしてしまっていた、という事もありますのでその点にも注意が必要です。
※ 資格外活動許可についての詳細はこちら。
収入が少ない場合は、日本人の配偶者等のビザに変更しても日本で安定した生活を送ることは難しいでしょうから許可は出にくくなります。
この場合は両親の援助が必要であったり、今後の収入について入管に説明を求められることもあります。
今回は留学ビザから日本人の配偶者等のビザへの変更について解説を行っていきましたが、いかがでしたでしょうか。
日本人の配偶者等のビザは就労や永住申請で大きなメリットがあるものですが、取得するためには日本での在留状況などが大きく影響してきますので、在学中から本来の目的をしっかり意識しながら生活を送るようにしていただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
effort行政書士事務所では宮城(仙台)でのご相談をメインに取扱っておりますが、zoom等を活用して全国からのご相談も受け付けております。
何かご不明点があればお気軽にご相談いただければと思います。
※ 配偶者ビザの料金はこちら。