Column
Column
(2024年7月 更新)
再入国許可とは、簡単に言うとビザを持って日本に在留している外国人の方が母国の家族に会いに行く場合などに一時的に日本を出国する際のルールです。
これをしっかりと理解しておかないと、もう一度ビザを取り直しになってしまうこともありますので、出国をお考えの外国人の方は是非、参考にしていただけると幸いです。
原則としてビザを持った外国人の方が日本を出国すると現在お持ちのビザとその残りの在留期間は失われてしまいます。
そうなると再び日本に戻ってきて今までと同じビザの活動をしようとする場合には、初めからビザの取得を目指すことになってしまいますが、それではさすがに外国人の方に対してかなりの負担を負わせてしまうことになりますので、それを回避するために設けられたのが再入国許可というものです。
これはビザを持って日本に滞在している外国人の方が一時的に日本を出国して一定の期限内に日本に戻ってこようとする場合に、この再入国許可の手続きを得てから出国することにより、再度日本に戻る際の手続が簡略化される仕組みです。
もちろん、簡略化された手続で日本に戻ることができるだけではなく、出国中も現在お持ちのビザは継続しているという恩恵を受けることができます。
ちなみに、再入国許可には「 通常再入国許可 」と「 みなし再入国許可 」の2種類があります。
まずは通常の再入国許可について触れていきたいと思います。
① 正規の在留者で相当期間日本に在留する者であること
② 在留期間の満了日以前に日本に再び入国する意図をもって出国しようとする場合であること
となっております。
①は簡単に言うと不法に日本に在留している外国人の方ではなく正規のビザを持っていて、ちゃんと在留期間も切らしていない外国人の方であることが必要です。ということですね。
ただし、要件を満たしていても再入国許可申請が不許可になった場合にそのまま日本から出国してしまうと、その不許可処分の取り消しを求めることができなくなります。
また、ビザの変更申請などをしたものの、それが不許可になった場合に再入国許可申請をせずにそのまま出国してしまうと不許可の取り消しを求めることができなくなってしまいます。
②は在留期限が切れる前に日本に戻ってこなくてはいけないという事ですから、在留期限を越した再入国許可申請をしても許可はされません。
再入国許可には上記の2つの要件を満たさなくてはいけないのですが、日本の外交上その他の利益を害する行為又は公安を害する行為を行うおそれがある者や短期滞在ビザをもって在留する者、難民申請を行っていることを理由に特定活動ビザで在留する場合などは、再入国許可は認められないので注意をしましょう。
通常再入国許可には
・1回限り
・有効期間内であれば何回も使用できるもの
( 数次再入国許可 )
この2種類があります。
ちなみに有効期間内であれば何回も使用できる数次再入国許可は、法務大臣が申請人の在留活動の状況、必要性、その他の諸般の事情などを総合的に考慮したうえで決定することになりますので、申請すれば必ず許可が出るわけではありません。
最長で5年 ( 特別永住者の場合は6年 ) までとされています。
ただし、再入国許可の要件で「 在留期間の満了日以前に日本に再び入国する意図をもって出国しようとする場合であること 」とされていますので、実際は在留期間の範囲内でしか許可が出ません。
例えば在留期間が5年の方でも在留期間の残りが4年だった場合は、再入国許可は最長でも4年ということになります。
数次再入国許可の方もその期間内で何回も使用できるということになりますね。
再入国許可を受けて日本を出国したものの、出国先で病気になってしまった場合やケガ、天災などのやむを得ない理由で再入国許可の有効期間内に日本に戻ることができない場合は、その有効期間を延長することができます。
ただし1回の延長で1年を超えることはできません。
そして延長は再入国許可の効力が発生した日から6年を超えない範囲 ( 特別永住者は7年 ) になりますが、ビザの在留期間を越した延長は行うことができませんので注意をしましょう。
出入国管理庁のホームページから申請用紙をダウンロードして記入します。
その後、出国の前までに住所地を管轄する出入国在留管理局に「 記入した申請用紙 」「 在留カード又は特別永住者証明書 」「 パスポート 」を持って申請を行います。
許可が出れば手数料を支払って完了となります。
みなし再入国許可とは、ビザと有効な旅券 ( パスポート ) を持っている外国人の方で「 3月以下の在留期間の方 」「 短期滞在の在留資格をお持ちの方 」以外の方が出国の日から1年以内に日本に戻る場合には、原則として通常再入国許可を取得しなくても日本に戻ってこれるというものです。
ただし、出国してから1年以内に在留期間が切れてしまう場合には、その在留期間が切れるまでとなります ( 例えば6か月後に在留期間が切れるようであれば、みなし再入国許可は6か月以内 )。
通常再入国許可は、やむを得ない理由があった場合には延長をすることができましたが、みなし再入国許可では延長をすることができません。
万が一、みなし再入国許可の期間を越してしまうと新規の査証申請をしなくてはいけないので、その危険性が少しでもある場合は通常再入国許可の申請をした方が良いでしょう。
みなし再入国許可は、下記のものに該当する場合は対象外となってしまいます。
① 在留資格取り消し手続中の方
② 出国確認の留保対象者
③ 収容令書の発行を受けている者
④ 難民認定申請中の特定活動ビザをもって在留する者
⑤ 日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあることその他の出入国の公正な管理のため再入国の許可を要すると認めるに足りる相当の理由がある者として法務大臣が認定する者
通常再入国許可の申請の場合は、住所地を管轄する出入国管理局で出国の前日までに申請を完了させる必要がありましたが、みなし再入国許可の場合は基本的に出国する際の空港若しくは港で行うことになります。
「 有効な旅券 」「 在留カード 」を持って入国審査官に、みなし再入国許可によって出国することを表明するのですが、実際には再入国出国記録 ( 再入国EDカード ) というものに氏名などの必要事項を記入し、あとは「 一時的な出国であり、再入国する予定です 」にチェックを入れて入国審査官にそれを見せて、みなし再入国許可で出国したいと伝えれば完了となります。
ちなみに再入国出国記録 ( 再入国EDカード ) は下記のようなものになります。
今回は再入国許可について解説を行っていきましたが、出国をお考えの方はくれぐれもビザを失わないように各種手続きを確実に行いましょう。
また、永住者などの在留期間が無制限の方もこの手続きを行わないとビザの効力を失うことになりますので注意をしていただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。