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2023年02月21日永住権永住権について

永住権とは

(2024年7月 更新)

今回は永住ビザについて解説を行っていきます。

就労ビザとは直接の関係はないかもしれませんが、日本で就労ビザを持って働いている外国人の方は最終的に永住ビザの取得を目指していらっしゃる方も多いので、今すぐにとういうわけではなくても将来的に目指している方のお役に立てれば幸いです。

永住ビザとは

外国人の方が日本に滞在するにはビザ ( 在留資格 ) が必要になってきます。

日本におけるビザは技術・人文知識・国際業務ビザ、経営・管理ビザ、高度専門職ビザなど全部で29種類あり、それぞれ厳格な在留管理がされておりますので、それぞれのビザの目的に合った活動を行わなければなりません。

また、多くのビザには在留期間も定められているので、その期間が来れば更新が必要になってきます。

永住ビザを取得した場合には、上記で挙げた在留活動や在留期間を制限されずに、しかも国籍を変えずに日本に住み続けることができるという点で、他のビザと比べて在留管理が緩和されます。

そのため、通常のビザよりも慎重に審査する必要があり、一般のビザの申請手続きとは独立した規定が設けられていますので申請にあたっては注意が必要です。

ここまで聞くと魅力的な部分がある反面で申請は難しそうだな…と感じてしまうかもしれませんが、詳しく永住ビザのメリットやデメリット、申請にあたっての要件やポイントなどのお役立ち情報を含めて色々と解説を行っていきます。


永住ビザのメリット

永住ビザを取得することによるメリットは

① ビザの更新が不要

② 就労制限がなくなる

③ 退職や離婚をしても日本に住み続けられる

④ 社会的信用が増す

⑤ 配偶者や子の永住申請が楽になる

というものがあります。

① ビザの更新が不要

通常、ビザには在留期間というものがあります。

その期間は数日~数年で設けられていて、多くのビザの場合はその期限が到来したら更新手続きを行わなければならず、仮にその期限が到来しても更新手続きを行わなかった場合は適法に日本に在留し続けることができなくなり、出国することになります。

この更新手続きは煩雑なうえに申請をすれば必ず許可が出るものではなく、不許可になる場合もあります。

不許可の場合は再申請が必要になりますが、更新の申請をした時期が期限ギリギリだった場合は再申請ができずに出国せざるを得なくなります。

ところが永住ビザを取得すると在留期間の制限がなくなりますので、更新手続きが不要になります。

これは日本に長く在留したいとお考えの外国人の方にとっては大きなメリットであると言えます。

② 就労制限がなくなる

技術・人文知識・国際業務ビザや経営・管理ビザなどの就労ビザでは、そのビザの目的に合った活動 ( 仕事 ) をしなくてはいけませんので、就労ビザを取ったからと言ってどんな仕事でもできるというわけではありません。

留学ビザや家族滞在ビザなどをお持ちの外国人の方は基本的には就労を許可されたビザではありませんが「 資格外活動許可 」を取得することにより、原則週28時間まで就労が可能です。

ただし、資格外活動許可も取得さえすればどんな職種でも働けるというわけではありません。

ですが、永住ビザを取得できれば就労制限がなくなりますので、適法なものであればどの職にも就くことができますし、副業も会社の就業規則に違反しなければ行うことが可能となります。

もし会社の経営が行いたければそれも行うことができるようになります。

④ 離婚や退職をしても日本に住み続けられる

例えば日本人の配偶者等のビザをお持ちの方が残念ながら離婚をしてしまった場合や就労ビザをお持ちの方が退職をしてしまった場合、原則としてそのままではビザの活動目的を果たすことができなくなるので帰国しなくてはなりませんが、それでも日本に引き続き住み続けたい場合には、技術・人文知識・国際業務ビザ、高度専門職ビザなどの就労系のビザや定住者ビザなどの他のビザに変更する必要があります。

その点、永住者ビザを取得している場合は離婚や死別、退職等をしても永住権の取り消しを受けることなく引き続き日本に滞在し続けることができます。

⑤ 社会的信用が増す

通常、永住ビザを取得するためには在留期間が10年上必要になりますし、審査は一般のビザの申請手続きとは独立した規定があり、慎重に行われることになります。

それらをクリアしたという事は日本で安定的に長期にわたって在留していたという証拠にもなりますので、他のビザと比べるとやはり信用度は高くなります。

実際、多くの金融機関で外国人の方が融資を受けるには永住ビザを取得していることが条件になっておりますので、永住ビザを取得すれば社会的信用が増して住宅ローンが組みやすくなり不動産の購入がしやすくなるなどのメリットがあります。

⑥ 配偶者や子の永住申請が楽になる

先ほども述べましたが、永住ビザの申請をするには通常、10年以上日本で生活していることが要件となっています。

永住ビザをお持ちの外国人の方と婚姻している場合は、この要件が緩和されて「 実体を伴った婚姻が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上日本に在留していること 」となり、大幅に在留年数に関する要件が緩和されます。

また、永住ビザをお持ちの外国人の方の子供の場合は「 引き続き1年以上日本に在留していること 」となり、婚姻の場合と同様に原則の10年よりも大幅に在留年数に関する要件が緩和されています。


永住ビザのデメリット

永住ビザのデメリットについては基本的にはないのですが、帰化高度専門職ビザと比較した場合に違ってくる点をご紹介していきます。

下記の①~③が帰化との比較、④が高度専門職ビザとの比較になります。

① 出国後、一定期間内に日本に戻らなければならない

② 参政権が得られない

③ 永住権を取り消されることがある

④ 親の帯同が認められない

① 出国後、一定期間内に日本に戻らなければならない

ビザを持った外国人の方が一時的に日本を出国する場合、一定期間内に日本に戻らないとそのビザは消滅してしまいますが、これは永住ビザも例外ではありません。

しかし帰化をすると日本人と同じ扱いになるため、ビザのように一定期間内に戻らなかったとしても帰化したことが取り消されることはありません。

② 参政権が得られない

永住ビザを取得すればビザの更新をせずに日本に住み続けることができますが、帰化と違って国籍は母国のままですから、日本籍を取得できるわけではありません。

参政権は日本国民に与えられるものですので、永住権をはじめとする外国籍の方には残念ながらこの参政権というものは与えられません。

※ 一部、条例による住民投票では参政権を認められる場合があります。

④ 永住権を取り消されることがある

普通に生活をしていれば退去強制の対象になることはありませんが、犯罪を行い一定の処分や刑罰を受けた、虚偽の申請や書類の偽造を行ってビザを取得した事が発覚した、などの場合には永住権が取り消される場合があります。

⑤ 親の帯同が認められない

高度専門職ビザをお持ちの方であれば、一定の要件を満たすことにより母国の親を日本に呼ぶことができますが、永住ビザの場合はそれをすることはできません。

今現在、高度専門職ビザをお持ちの方が永住権を取得しようとお考えの場合は、ご自身のライフスタイルをよく考えたうえで永住ビザに変更するかどうかを判断するようにしましょう。

※短期滞在ビザであれば一時的に親を日本に呼ぶことは可能です。


永住ビザの要件について

永住ビザを取得するための要件は大きく分けると3つあり

① 素行が善良であること

② 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

③ その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

となっております。

① 素行が善良であること

わかりやすく言うと「 法律を守り、普段の生活でも周りから非難されるようなことをせずに日常生活を送っている 」ということです。

具体的には

1、日本の法令に違反して、懲役、禁固又は罰金に処せられたことがある者

2、日常生活または社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行う等、素行善良と認められない特段の事情がある者

に該当する方は永住申請の要件を満たしていないという事になります。

1つ目の「 日本の法令に違反して、懲役、禁固又は罰金に処せられたことがある者 」ですが、要は悪いことをして処罰されている人が該当します。

ただし、一度でも処罰を受けたらもう永住申請ができないとなってしまうとあまりにも酷なので、執行猶予の期間を経過してその後さらに5年を経過したときや、禁固刑以上の刑の執行を終わり又は禁固刑以上の刑の執行を免除された者が罰金以上の刑に処せられないで10年以上経過したとき等は日本国の法令に違反して処罰されていない者として扱われますので、それらの期間が過ぎれば永住申請が許可になる可能性が出てきます。

2つ目の「 日常生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行う等素行善良と認められない特段の事情がある者 」ですが、1つ目に書いた懲役、禁固又は罰金に該当しないような軽微な法令違反でも同じ行為を繰り返し行う者や周りに多大な迷惑を及ぼす活動を繰り返し行う者が該当します。

一番イメージしやすいのは交通違反です。

一時不停止や駐車違反、合図不履行などを繰り返し行われると事故の危険性も高く、周りの人からしても迷惑なのでこれに該当します。

逆を言えば軽微なものであれば一回で即、不許可になるわけではないという事ですね。

ただし、明らかな故意による飲酒運転、無免許運転、20キロ以上の速度超過などについては軽微なものとは言えませんので注意をしてください。

また、現在のビザが家族滞在ビザなどで「資格外活動許可」を受けている方は、くれぐれもオーバーワークには気を付けてください。オーバーワークとなると素行善良とは認められず、不許可リスクが高くなってしまいます。

② 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

これは「 日常生活において公共の負担になっておらず、かつ、その者の職業又はその者の有する資産等から見て将来において安定した生活が見込まれること 」を意味しています。

例えば生活保護を受けている場合、安定した生活が見込まれているとは言い難いですよね。なのでこの場合は不許可リスクが高くなってしまいます。

では、生活保護を受けていなければ要件を満たせるかというと、そういうわけではありません。

将来において安定した生活が見込まれるためにはある程度の収入がなくてはいけません。

はっきりとした基準があるわけではないのですが、目安としては5年連続で年収300万円以上が必要だと言われています。

それに加えて扶養家族一人増えるごとに求められる年収がプラスとなっていきます。

この独立生計要件は必ず申請者本人が満たさなくてはいけないわけではなく、申請人の方が主婦で働いていない場合などは、配偶者がこの独立生計要件を満たせば許可が出る可能性があります。

仮に配偶者が300万円を満たさなくても、日本人の配偶者等のビザなど就労制限のないビザで得た年収をプラスして要件をクリアできる場合もありますが、合算せず申請人本人か配偶者が年収300万円をクリアしたほうが無難です。

最後にもう一点、注意が必要なこととして就労系のビザをお持ちの方の「転職」についてです。

転職自体は悪いことではないのですが、永住ビザの申請という観点から考えると仮に転職前の給与の方が高かったり、転職先が転職前と同じ給与水準などの場合は安定して生活を送れているとみなされず不許可リスクが高くなることがありますので、その場合は転職をしてから1年以上経過後に永住ビザの申請をすることをおすすめいたいします。

③ その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

こちらの要件はさらに4つのポイントがあります。

1、原則として引き続き10年以上日本に在留していること。また、この期間のうち、就労資格又は居住資格をもって継続して5年以上在留していることを要する。

2、罰金や懲役刑を受けていないこと納税義務等公的義務を履行していることを含め、法令を遵守していること

3、現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること

4、公衆衛生上の観点から有害となる恐れがないことが必要

となっております。

1、原則として引き続き10年以上日本に在留していること。また、この期間のうち、就労資格又は居住資格をもって継続して5年以上在留していることを要する。

10年以上日本に住んでいて、そのうちの直近の5年以上は就労系資格又は居住資格で日本に住んでいることが必要になってきます ( 技能実習や特定技能ビザ1号は含まれません )。

また「 引き続き 」と書いてありますので、ビザが途切れることなく日本に住み続けることが必要です。たまに勘違いされる方がいらっしゃるのですが、永住ビザを取得するまで一度も日本を離れてはいけないというわけではありませんのでご安心ください。

ただし、一回の出国で3か月以上や年間で100日以上の出国がある場合は「 引き続き 」の要件に引っかかってしまう可能性がりますので、ゆくゆくは永住ビザの取得をお考えの方は注意をしましょう。

2、罰金や懲役刑を受けていないこと納税義務等公的義務を履行していることを含め、法令を遵守していること

これは素行要件のところと重なる部分があるのですが、法律違反をして懲役、禁固、罰金等を受けていてはいけませんし、本来払うはずの税金や年金、公的医療保険の保険料などを払っていないのだめですよ、ということですね。

会社員の方は、会社で社会保険に加入していて税金も給与から天引きされるのがほとんどだと思いますが、ご自身で払っている方は忘れず期日までに確実に払い続けるようにしてください。

特に永住申請にあたっては未加入・未納がある場合は原則として不許可になってしまいますので、注意が必要です。

なお、永住申請する方が被扶養者( 扶養に入れてもらっている人 )の場合は、扶養している人がしっかりと公的義務を履行していることも必要です。

3、現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること

在留期限が近付いてきたらビザの更新をすると思いますが、更新をすると多くの場合は1年、3年、5年のいずれかで新しく在留期間が設けられます。

その最長という事は5年の在留期間が必要になるのですが、当面の間は3年の在留期間で良いとされていますので、もし永住申請を考えている方で現在の在留期間が1年の方は更新を重ねて3年の在留期間を取得してから永住ビザの申請を行うようにしましょう。

4、公衆衛生上の観点から有害となる恐れがないことが必要

文言だけ見るとあまりピンとかないかもしれませんが、例えば麻薬、大麻、あへんや覚せい剤などの中毒者やエボラ出血熱、ペスト、結核などの感染症に罹患している方が公衆衛生上の観点から有害となる恐れがあると判断されてしまいます。

また、自宅がごみ屋敷になっている場合も公衆衛生上の観点から有害となる恐れがあると判断されますので、こまめなごみ出しなどを心がけましょう。


まとめ

今回は永住ビザについて解説を行っていきました。

永住権を取得することは外国人の方にとって多くのメリットがありますので検討されている方は是非、参考にしていただければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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