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今回は2019年に新設された特定技能 ビザの要件について解説を行っていきますが 、特定技能の要件は他の就労ビザなどと違い申請人 、所属機関 、契約内容 、支援計画という4つから構成されています。
一度で4つの要件を全て解説していくのは内容が多くなり過ぎますので、今回は申請人の要件について解説を行っていきます。
※ 内容は特定技能1号のものとなります。
目次
特定技能ビザの申請人の要件は9つあります。
① 18歳以上であること
② 健康状態が良好であること
③ 業務に必要な相当程度の知識経験を必要とする技能の試験等による証明
④ 本邦での生活・業務に必要な日本語能力の試験等による証明
⑤ 送り出し国が適正であること
⑥ 特定技能としての在留期間が通算5年に達していないこと
⑦ 雇用契約に基づく活動に関連して金銭その他の財産を管理されず、違約金などを定める契約がなく、締結されないことが見込まれること
⑧ 費用負担に関する合意
⑨ 本国 (申請人の母国等) において遵守すべき手続きが定められている場合にはその手続きを経ていること
となっております。
特定技能ビザで働く場合には学歴要件はないのですが、年齢に関する要件として18歳以上であることが求められています。
日本の労働法制上、18歳未満の労働者に関しては特別な保護規定が定められている観点からこのような年齢に関する基準が設けられております。
ちなみにこの18歳というのはどの時点で満たしていれば良いのでしょうか?
雇用契約締結時なのか、ビザの申請時なのか、日本に上陸時なのか…答えは『日本に上陸時』になります。
そのため、雇用契約締結時などの段階で18歳となっていなくても問題ありません。
特定技能ビザをもって日本で働くにあたり、健康面で支障となることがないように外国人の方には健康診断を受診していただき、健康状態が良好であるかどうかが確認されます。
出入国在留管理局のHPにも健康診断個人票というものがありますので、そちらに記載されている内容を網羅していないと健康診断を受け直しとなってしまうので注意が必要です。
そしてもう一点、注意していただきたい内容として健康診断の有効期限についての問題があります。
・海外で受診したもの → 3ヶ月以内のもの
・日本で受診したもの → 1年以内のもの
となっております。
特に認定で海外から外国人の方を呼び寄せる場合には3ヶ月と短くなっておりますので書類の収集などに手間取っているとその期間を越してしまうこともありますので計画性をもって書類の収集をすることはもちろん、健康診断を受けるタイミングには十分に注意をするようにしましょう。
特定技能ビザは特定産業分野において労働力不足の解消を目的としておりますので、即戦力となることが期待されています。
そのため一定水準以上の技能を有することが必要となるのですが、その技能水準を確認する方法として試験で確認するパターンと技能実習2号修了で確認するパターンの2種類があります。
試験で技能水準を確認する場合は、国外または国内で実施される業種ごとに設定された技能試験に合格する必要があります。どのような試験の内容かについては、出入国在留管理庁のHPに掲載されていますので、そちらをご覧いただければと思います。
そしてもう一つの技能実習2号修了で技能水準を確認する場合ですが、これは技能実習2号を良好に終了した後に特定技能1号に移行する場合になります。技能実習は1号から3号まであり、1号 (1年目) ・ 2号 (2年目、3年目) ・ 3号 (4年目、5年目) と最長で5年の制度になっておりますが、3号まで終了している必要はありません。
そして技能実習2号を良好に修了しているかどうかは技能実習2号の目標でもある技能検定3級の実技試験に合格していることが基準となっております。
また、技能検定3級を受験していない人や合格できなかった人についても評価調書の提出で要件を満たせる場合がありますが、これは病気等のやむを得ない理由により受験できなかったなどの説明が必要になってきます。
※ 技能実習2号を修了した者には、技能実習法施行前の技能実習2号を修了した技能実習生や、技能実習が創設される前の特定活動(技能実習)をもって在留していた技能実習生(研修ビザ及び特定活動ビザで在留した期間が2年10か月以上の者に限る)も含まれます。
特定技能1号には、「日本での生活および従事しようとしている業務に必要な日本語能力」を有していることが求められています。
その証明には国内外で実施されている試験に合格することが必要です。
その試験は2種類あり「日本語能力試験 JLPT」と「国際交流基金日本語基礎テスト JFT-Basic」になります。
「日本語能力試験 JLPT」の場合はN4以上に、「国際交流基金日本語基礎テスト JFT-Basic」の場合はA2に合格する必要があります。
また、介護分野では上記いずれかの合格に加えて介護日本語評価試験に合格する必要があります。
特定技能ビザでは国籍要件がありませんが、入管法における退去強制令書の円滑な執行に協力しない国・地域からの外国人の方の受け入れは認められていません。
令和3年2月19日時点ではイラン・イスラム共和国の2か国が該当しております。
今後の情勢によってはまた変更があるかもしれませんが、残念ながら先述した2か国からの受け入れは行うことができません。
悪質な仲介業者の排除や情報共有の枠組み構築を目的として日本政府との間で協力覚書(二国間の手続)が定められている場合は、その定めに従った手続きを行わなければなりません。
特定技能ビザで日本に在留できる期間は通算5年を超すことはできません。
この通算5年の考え方としては一つの分野で5年というものではなく、仮に複数の分野で特定技能ビザによる就労を行っていた場合はトータルで5年を越してはいけないということになります。
また過去に特定技能で在留した経験がある場合はその期間も含むことになります。
その他にも再入国許可等を得て出国していた期間、労災による休業期間、育児休業期間、失業期間 (転職活動中の「特定活動」で活動していた期間も含む) なども含む点には注意をしましょう。
仮に契約期間が残っていたとしても、この5年を越してまで在留し続けることはできません。
特定技能2号になると、ゆくゆくは永住ビザの申請も行うことができるのですが「特定技能1号の期間は合算できない」ので、最終的に永住ビザを取得することを目的としている方は覚えておきましょう。
特定技能で働くにあたって違約金などの定めがある場合、外国人の側からすると不当な労働環境でも退職することが難しくなってしまい、結果的に強制労働になる可能性があります。
そのため、違約金はもとより保証金なども契約によって定めることが禁止されています。
外国人の方に対する費用を直接または間接的にでも負担させることは禁止されています。
ここでの費用というのは、支援に関する費用が主ですが特定技能外国人の方が出入国する際の送迎費用や事前ガイダンス・オリエンテーション・定期面談に係る費用が挙げられます。
その他の食費・居住費など定期に負担する費用について供与される利益の内容を十分に理解したうえで合意し、費用の負担額が実費に相当する額など適正な額であれば外国人の方が負担することは可能となっており、その際は明細書などを提示することが必要です。
例えばお昼にお弁当を支給する場合の負担はそのお弁当の代金以内にしなくてはいけませんし、不動産で言うと自社の借り上げ物件に住まわせる場合、一般の人に貸し出している金額よりも低い金額として、外国人の方から収益を得ないようにしなくてはいけません。
この計算は非常に複雑で築年数や修繕費なども考慮しなくてはならず大変です。
これは悪質な仲介業者の排除や情報共有の枠組み構築を目的として日本政府との間で協力覚書が締結されている場合は、それをしっかりと守らなくてはならないということです。
この協力覚書 (二国間の取り決め) は、カンボジア・インドネシア・ネパール・フィリピン・ミャンマー・タイ・ベトナム・モンゴル・ウズベキスタン・スリランカ・インド・バングラデシュで締結されており、各国により手続きが変わってきますので出入国在留管理庁のHPにも掲載されている内容を一度、ご確認していただければと思います。
今回は特定技能ビザの申請人の要件について解説を行っていきました。
次回は特定技能ビザの特定技能所属機関の要件について解説を行っていきますので、特定技能ビザによって外国人の方を雇用しようとお考えの企業様はそちらも参考にしていただけると幸いです。
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