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特定技能ビザで外国人の方を雇用しようとする場合、原則として派遣契約は認められず雇用契約を締結することが必要になります。
今回はそんな特定技能外国人と雇用契約を締結するにあたってのポイントについて解説を行っていきます。
内容としては
① 相当程度の知識・経験を必要とする技能を有する業務または熟練した技能を要する業務に従事させるものであること
② 所定労働時間が通常の労働者の所定労働時間と同等であること
③ 外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること
④ 報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について差別的な取り扱いをしていないこと
⑤ 外国人が一時帰国を希望した場合は必要な有給休暇を取得させること
⑥ 外国人の方が帰国旅費を負担できない場合は受入れ機関が負担すること
などがあります。
※ 特定技能ビザについてはこちらを。
目次
特定技能1号の外国人の方にはどのような仕事でも行わせることができるわけではありません。
「相当程度の知識・経験を必要とする技能を有する業務または熟練した技能を要する業務」に限られていますので注意をしましょう。
目安としては各分野の3級技能士レベルの方が行っている業務であれば大丈夫かと思います。
各分野の業務内容としては
・介護 → 身体介護のほか、これに付随する支援業務
・ビルクリーニング → 建物内部の清掃
・素形材産業 → 鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属ブレス加工、工場板金、メッキ、アルミニウム陽極酸化処理、仕上げ、機械検査、機械保全、塗装、溶接
・産業機械製造業 → 鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、塗装、鉄工、工場板金、メッキ、仕上げ、機械検査、機械保全、工場包装、電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線製造、プラスチック成形、金属ブレス加工、溶接
・電気・電子情報関連産業 → 機械加工、金属ブレス加工、工場板金、メッキ、仕上げ、機械保全、電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線板製造、プラスチック成形、塗装、溶接、工場包装
・建設 → 型枠施工、左官、コンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、土工、屋根ふき、電機通信、鉄筋施工、鉄筋継手、内装仕上げ/表装
・造船・舶用工業 → 溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、電気機器組立て
・自動車整備 → 自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備
・航空 → 航空グランドハンドリング、航空機整備
・宿泊 → フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供
・農業 → 耕種農業全般、畜産農業全般
・漁業 → 漁業、養殖業
・食料品製造業 → 飲食料品製造業全般
・外食業 → 外食業全般
となっております。
ここで言う通常の労働者というのはフルタイムで雇用されている従業員の方を言いますので、週5日以上かつ年間217日以上かつ週の労働時間が30時間以上となっております。
今挙げた時間は最低でも、の時間になりますので他の労働者の方がそれ以上の時間で働いているようであればそれに合わせるようになります。
くれぐれも外国人の方だけ長い労働時間にしないようにしましょう。
単純に外国人だからという不当な差別を行わないように、ということになります。
他の従業員と同等以上の報酬とするために比較をする場合に注意をしていただきたいこととして、技能実習を経て特定技能ビザを取得する方の場合です。
技能実習2号であれば概ね3年、技能実習3号であればおおむね5年は日本に在留して経験を重ねているわけですが、この技能実習の期間も経験年数に加算するようになっています。
つまり、技能実習2号から特定技能ビザを取得してたのであれば3年目の日本人と同等以上、技能実習3号から特定技ビザを取得したのであれば5年目の日本人と同等以上の報酬を支払うことが必要になります。
こちらも単純に外国人だからと不当な差別を行わないようにしていただければ良いものになります。
これは日本人の場合に置き換えて考えてみると良いかもしれませんが、有給休暇を使ってふるさとに帰省したいと言われた場合「それはダメだ!」となるでしょうか?繁忙期でどうしても有給休暇の取得が難しいような場合を除いて通常の企業であればそのようなことはないかと思いますので、外国人の方から有給休暇を取得して国に帰りたいという申し出があった場合は日本人と同様に取扱うようにしましょう。
日本と海外では文化の違いもありますので、あらかじめ帰国希望の日やその期間などをしっかりヒアリングしてトラブルを未然に防ぎましょう。
労働基準法第39条には「使用者は、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤して労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」とされていますので、これに沿って外国人の方にも有給休暇を取得させるようにしたください。
なお、有給休暇をすべて取得してしまった外国人の方から一時帰国を希望する申出があった場合は、追加的な有給や無給休暇を取得することができるように配慮することが望まれています。
そして配慮していただきたい点として、特定技能外国人の方の家族の方が短期滞在で来日した場合は家族と過ごす時間を取得できるようにしてあげるなど外国人の方も働きやすい職場を目指しましょう。
原則として、外国人の方本人が自費で帰国してもらうことになっておりますが、どうしても帰国費用を負担できない場合はその費用を負担する必要があります。
その他にも出国が円滑に済むように航空券の予約や購入も行う必要があります。
ただし、帰国の費用を確保するために月々の報酬からその分を控除するなどの措置は禁止されていますので行わないようにしてください
今回は特定技能ビザの雇用契約について解説を行っていきましたが、ご理解いただけたでしょうか?
雇用契約を結ぶにあたって日本人と同等に扱わなくてはいけないところと外国人の方だからこその特有な部分の両方を考えなくてはならず難しい部分もあるかもしれませんが、今回のコラムが少しでも企業の方の参考になっていただけると幸いです。
※ 特定技能ビザの料金はこちら。
