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特定技能ビザで外国人の方を雇用しようとする場合、所属機関に関する基準が定められていますが、その中に「分野固有の基準を満たしていること」というものがあります。
特に建設業の分野では独自の基準が多く定められているので、今回は建設業の分野特有の基準について解説を行っていきます。
※ 特定技能ビザについてはこちら。
目次
特定技能ビザの建設業に関する要件としては、
① 相当程度の知識や経験が必要な業務を担当してもらう
② 国土交通大臣より建設特定技能受け入れ計画の認定を受けている
③ 建設業許可を得ている
④ 建設キャリアアップ (ccus) に登録済みである
⑤ JAC (建設技能人材機構) の構成員となっている
⑥ 国内人材の確保措置を行っている
⑦ 報酬等の労働条件や就労環境が適切である
⑧ 安全衛生や技能習得に関する教育を行う
とされておりますので、それぞれ見ていきましょう。
特定技能ビザで外国人の方を雇用する場合、どのような職種でも良いわけではありません。
受け入れ可能な職種としては
・型枠施工
・左官
・コンクリート圧送
・トンネル推進工
・建設機械施工
・土工
・屋根ふき
・電気通信
・鉄筋施工
・鉄筋継手
・内装仕上げ/表装
・とび
・建築大工
・配管
・建築板金
・保温保冷
・吹付ウレタン断熱
・海洋土木工
となっています。
とは言えそれ以外の仕事が全くできないのかというとそういうわけではありません。
現場での仕事を考えると当然、準備や作業が終わった後の現場の片付けもありますから、他の日本人も行っていることであれば特定技能ビザの外国人の方が行っても問題ありません。
上で挙げた職種はあくまでメインで行っていただく仕事の内容になります。
建設分野で特定技能ビザ (1号) の外国人の方を雇おうと思った場合、ビザの申請に先立って国土交通大臣による「建設特定技能受け入れ計画の認定」を受ける必要があります。
大きく分けると4つの審査のポイントがあります。
建設業法第3条の許可の取得、建設キャリアアップシステムの登録、JACの構成員であることが要件として求められます。
特定技能ビザは人材不足を解消するために設けられたものになりますので、それを活用する前にまずは国内で人材確保に向けての努力をしているかを審査されます。
外国人だから、という不当な理由での差別は禁止されておりますので、日本人と同等の技術を有しているのであれば日本人と同等の報酬となっているのか、昇給も他の日本人と同等かそれ以上になっているのか、それ以外には各種契約の内容を事前に外国人の方が理解をしているのか、ということが審査されます。
安全衛生に関する教育を実施することはもちろん、特定技能 (2号) へのステップアップを目指して技能に関する教育機会の提供などが計画の中に盛り込まれているのか、という点も審査のポイントとなっております。
※ 建設特定技能受入計画の認定申請についてはこちら。
建設業を営む場合、工事1件の請負金額が500万円未満(建築一式工事の場合は、1件の請負金額が1500万円未満の工事又は延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事)の場合は、建設業許可を受ける必要はないのですが、特定技能ビザで外国人の方を雇う際には、その金額の工事をする予定がなくても建設業許可を受ける必要があります。
建設業許可を取得するには、経営の安定性や技術力、法令順守など厳しい基準をクリアしなくてはいけませんので、それが取得できているということはその企業の安定性は保証されているという事になるために、このような要件が求められています。
建設キャリアアップシステムとは、建設業界の人手不足を解消するために建設現場で働く職人や現場監督の就業実績や資格、社会保険の加入状況などをICカードに蓄積していき、適正な評価が受けれるようにすることにより賃金アップや処遇改善を目的として導入されているシステムなのですが、特定技能ビザの外国人の方も建設キャリアアップシステムに登録することにより日本人と同じ客観的な基準で評価を受けやすくなることから、このシステムへの登録が求められています。
※ 建設キャリアアップシステム(ccus)についてはこちら。
JAC (建設技能人材機構) は「建設分野における特定技能外国人(以下「建設分野特定技能外国人」という。)その他の外国人材の適正かつ円滑な受入れ等に関する事業を行うとともに、建設技能者の技能評価その他の建設技能者の確保等に関する事業を行うことにより、建設分野における人材の確保を図り、もって我が国の建設業の健全な発展に資することを目的とする」としており、以下の7つの事業を行っている一般社団法人になります。
1. 建設分野における外国人材の適正かつ円滑な受入れの実現に向けた行動規範の策定及び当該規範の適正な運用
2. 建設分野における外国人材が有する能力を有効に発揮できる環境の整備に関する事業
3. 建設分野特定技能外国人の受入れに関する事業
4. 建設分野特定技能外国人に対する職業紹介事業
5. 建設技能者の技能評価その他の建設技能者の確保等に関する事業
6. 建設技能者の確保等に関する調査研究
7. その他本機構の目的を達成するために必要な事業
JACの構成員になるには「正会員である建設業者団体の会員」として加入するか「賛助会員」として加入するかの2種類があります。
※ 建設技能人材機構(JAC)についてはこちら。
これについては先ほども触れておりますが、特定技能ビザは深刻な人材不足を解消することを目的に設立されたものですから、まずは国内において人材確保をするための努力を行っているかを確認されることになります。
ハローワークに申請した申込書などが確認されるのですが、当然ながらその中身が適切な労働条件となっているのかまで確認されることになりますので、現在働いている職員の方と比べて不当に低いような賃金設定などをされている場合は適切な労働条件とは言えませんので注意をしましょう。
外国人だからという不当な理由で日本人よりも低い報酬設定は禁止されております。
同じレベルの日本人と同等かそれ以上の報酬を設定することが必要ですし、その他に昇給などにおいても不当な差別は禁止されています。
比較対象となる日本人が職場にいない場合は賃金規定などに基づいてその報酬を決定していきますが、仮に賃金規定はあっても賃金テーブルが設定されていない場合は、周辺地域における建設業の従事者の平均賃金や設計労務単価等を根拠にするなど、報酬額が適切であることの説明をする必要があります。
そして労働条件や就労環境を含めた諸々の内容を事前ガイダンスでしっかりと説明をすることが必要です。
一般的に建設業は労働災害の発生しやすい職場になりますので、その防止に向けて安全衛生に配慮された職場環境を整備することが必要です。
そのため、特定技能ビザの外国人の方に対しても日本人と同様に従事させる業務に必要な安全衛生教育を実施することが求められています。
その他にも特定技能2号へのステップアップを目指して技能に関する教育機会の提供などを具体的な計画を立てていくことが必要になります。
なお、特定技能2号は技能検定1級レベルが要件となっておりますので、それを加味したうえで具体的な技能習得のための計画を立てると良いかもしれません。
今回は特定技能ビザの建設業の分野特有の要件などについて解説を行っていきましたが、いかがだったでしょうか?
色々と考えなくてはいけないことも多くなり大変なことも出てくるかとは思いますが人材確保のために是非、参考にしていただけると幸いです。
※ 特定技能ビザの料金はこちら。
