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「技能実習の外部監査の中身って何をするんだろう」
監理団体で働き始めたばかりの方やこれから監理団体を設立しようと考えている方や現在は外部役員を設置しているけれども今後、外部監査人の設置を検討している監理団体様の中にはこのような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
今回はそのような方のために外部監査の内容について解説を行っていきます。
effort行政書士事務所では、仙台市をはじめとして全国での外部監査人のご依頼を承っておりますので、コラムから興味を持たれた際にはいつでもお問い合わせいただければと思います。
※ 技能実習についてはこちら
※ 技能実習の外部監査についてはこちら
まずはじめに外部監査人が行う業務は2種類あります。
技能実習の運用要領を見てみますと、
・監理団体の各事業所について監査等の業務の遂行状況を3カ月に1回以上確認し、その結果を記載した書類を作成・監理団体へ提出すること
・監理団体が行う実習実施者への監査に、監理団体の各事業所につき1年に1回以上同行して確認し、その結果を記載した書類を作成・監理団体へ提出すること
このように3か月に一回以上の定期監査と1年に1回以上の同行監査の2種類が外部監査人の業務になります。
あくまで『監理団体を監査する』ことが外部監査人の業務になりますので、特に2つ目の同行監査で外部監査人が実習実施者への監査を行わないように注意が必要です(実際に勘違いからか、それを行っていた外部監査人がいたようです)。
それでは、監査の内容について詳しく見ていこうと思います。
まずは3ヶ月に1回以上の定期監査ですが、監査内容は「監理費」「業務」「書類」「保護」「その他」と大きく分けて5種類になります。
監理費の監査事項は5つあり、
① 団体監理型実習実施者等へあらかじめ用途及び金額を明示した上で徴収していること。
② 徴収した職業紹介費が団体監理型実習実施者等と団体監理型技能実習性等との間における雇用関係の成立のあっせんに係る事務に要する費用(募集及び選抜に要する人件費、交通費、外国の送出し機関へ支払う費用その他の実費に限る。)の額を超えていないこと。
③ 徴収した講習費が、入国後講習に要する費用(監理団体が支出する施設使用料、講師及び通訳への謝金、教材費、第1号団体監理型技能実習生に支給する手当その他の実費に限る。)の額を超えていないこと。
④ 徴収した監理指導費が、団体監理型技能実習の実施に関する監理に要する費用(団体監理型実習実施者に対する監査及び指導に要する人件費、交通費その他の実費に限る。)の額を超えていないこと。
⑤ 徴収したその他諸経費が、その技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に資する費用(実費に限る。)の額を超えていないこと。
というように、しっかりと実習実施者へ明示した上で徴収をしているか、各種費用等を多く徴収して利益を得ていないか、などについて監査を行うようになります。
業務の監査事項は14つあり、
① 団体監理型実習実施者が認定計画に従って技能実習を行わせているか等、監理責任者の指揮の下、主務省令第52条第1号イからホまでに定める方法(団体監理型技能実習生が従事する業務の性質上当該方法によることが著しく困難な場合にあっては、他の適切な方法)によって3ヶ月に1回以上の頻度で監査を行うほか、実習認定の取り消し事由に該当する疑いがあると認めたときは直ちに監査を行っていること。
② 第1号団体監理型技能実習に係る実習監理にあっては、監理責任者の指揮の下、1カ月に1回以上の頻度で、団体監理型実習実施者が認定計画に従って団体監理型技能実習を行わせているかについて実地による確認(団体監理型技能実習生が従事する業務の性質上当該方法によることが著しく困難な場合にあっては、他の適切な方法による確認)を行うとともに、団体監理型実習実施者に対し必要な指導を行っていること。
③ 技能実習を労働力の需給の調整の手段と誤認させるような方法で、団体監理型実習実施者等の勧誘又は管理事業の紹介をしていないこと。
④ 入国後講習を認定計画に従って実施しており、かつ、入国後講習の期間中に団地監理型技能実習生を業務に従事させていないこと。
⑤ 技能実習計画作成の指導に当たって、団体監理型技能実習を行わせる事業所及び団体監理型技能実習生の宿泊施設を実地に確認するほか、主務省令第52条第8号イからハに規定する観点から指導を行っていること。
⑥ 技能実習生の帰国旅費(第3号技能実習の開始前の一時帰国を含む。)を負担するとともに技能実習生が円滑に帰国できるよう必要な措置を講じていること。
⑦ 実習監理を行っている団体監理型技能実習生の人権を著しく侵害する行為を行っていないこと。
⑧ 団体監理型技能実習生との間で認定計画と反する内容の取り決めをしていないこと。
⑨ 実習監理を行っている団体監理型実習技能実習生からの相談に適切に応じるとともに、団体監理型実習実施者及び団体監理型技能実習生への助言、指導その他の必要な措置が講じられていること。
⑩ 監理団体の業務(管理費の徴収を含む。)に係る規定をインターネットに公表していること。ただし、インターネットによる公表が困難である相当の理由がある場合は、事業所内へ掲示していること。
⑪ 団体監理が実習実施者が、団体監理型技能実習に関し労働関係法令に違反しないよう、監理責任者に必要な指導を行わせていること。
⑫ 団体監理型実習実施者が、団体監理型技能実習に関し労働関係法令に違反していると認めるときは、監理責任者に是正のための必要な指示を行わせていること。
⑬ ⑫の指示を行ったときは、速やかに、その旨を関係行政機関に通報していること。
⑭ 事業所管大臣が特定の職種及び作業に特有の事情に鑑み告示で定める基準や方法に従って業務を行っていること(該当がある場合に限る。)
このように業務の事項では決められた頻度で監査等を行っているか、技能実習の趣旨に沿った運用ができているのか、適切な労働環境で技能実習が行われているのか等を監査します。
書類の監査事項は9つあり、
① 団体監理型実習実施者及び団体監理型技能実習生の管理簿が適切に作成され、備えられていること。
② 監理費に係る管理簿等が適切に作成され、備え付けられていること。
③ 団体監理型技能実習に係る雇用関係の成立のあっせんに係る管理簿が適切に作成され、備えられていること。
④ 団体監理型技能実習の実施状況に係る監査に係る文書が適切に作成され、備えられていること。
⑤ 入国後講習及び入国前講習の実施状況を記録した書類が適切に作成され、備えられていること。
⑥ 訪問指導内容を記録した書類が適切に作成され、備えられていること。
⑦ 団体監理型技能実習生から受けた相談の内容及び当該相談内容への対応を記録した書類が適切に作成され、備えられていること。
⑧ 外部監査人による監査に係る文書が適切に作成され、備えられていること。
⑨ 事業所管大臣が特定の職種及び作業に特有の事情に鑑み告示で定める基準や方法に従って書類を作成し備えていること(該当がある場合に限る)。
こちらの監査事項では各種書類をしっかりと作成、備えられているかを監査します。
保護の監査事項は5つあり、
① 暴行・脅迫・監禁等により技能実習を強制していないこと。
② 保証金の徴収・違約金を定める契約等がないこと。
③ 預金通帳の管理など不当な財産管理を行っていないこと。
④ 旅券・在留カードを保管していないこと。
⑤ 技能実習生の私生活の自由を不当に制限していないこと。
技能実習法に定められている技能実習生の保護に関する内容が行われているかを監査します。
その他の監査事項は2つあり、
① 監理団体の許可証を各事業所に備えていること。
② 技能実習の実施が困難となった場合、技能実習生が引き続き技能実習を行うことを希望するものが技能実習を行うことができるよう、他の監理団体等との連絡調整等を行っていること。
というような内容を監理団体に対して監査を行い、書類の作成・提出を行います。
外部監査人は監理団体の職員ではなく、監理団体が行う監査等の業務に従事することがないことから、監理団体が行う実習実施者への監査に、監理団体の各事業所につき1年に1回以上同行して確認し、その結果を記載した書類を作成・監理団体へ提出することが求められています。
監理団体の行う監査の内容が
① 技能実習の実施状況を実地に確認すること
② 技能実習責任者及び技能実習指導員から報告を受けること
③ 技能実習の4分の1以上と面談すること
④ 実習実施者の事業所の設備、帳簿類等を閲覧すること
⑤ 技能実習生の宿泊施設等の生活環境を確認すること
とされています。
必然的に外部監査人も各監査の内容がどのようにして監査されているのかを把握した上で同行監査を行うことが求められます。
なお、各監査内容の詳細については、また別のコラムで解説を行っていこうと思います。
今回は外部監査人の業務内容について解説を行っていきました。
effort行政書士事務所では外部監査人の要件を満たしており、外部監査人や各業務内容についていつでもご相談を承っておりますので、ご不明点がありましたらお気軽にご連絡を頂ければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。